ナイキの新シューズは「ほぼゴミ」から再生!
ナイキのシューズといえば、厚底シューズを履いた選手がマラソンで好記録を連発して話題になりました。残念ながら昨日(3/24)、今年の東京オリンピック・パラリンピックは来年に延期となってしまいました。日本だけでなく、現在の世界の状況を考えると、日本として世界各国の選手や関係者のみなさんを安全に受け入れることができるのか、また逆に世界の国々から日本へ選手を派遣してもらえるのか、主役である選手のみなさんに気持ちよく来日してもらえるのか、と不安な要素がたくさんあります。私個人としては、世界で感染症を克服し、選手も関係者もそして観客も、安心して日本に集える時期に開催を延期することは賢明なことだと思います。既に選ばれていた選手の皆さんは大変残念に思われるでしょうが、前向きに気持ちを切り替えていただき、来年への準備に取り組んでいただければと思います。
2020年3月25日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、
“米ナイキがほぼすべての材料を廃棄物、つまり「ゴミ」から再生した原料で作ったシューズを2020年2月に発表した。気候変動がスポーツイベントや選手に与える影響に対処する姿勢を明確にしたものだ。”
“ナイキが新たに投入する環境配慮のシューズ「スペースヒッピー」が目指したのは、製造過程での炭素排出量が過去最低のシューズだ。ただし、既に炭素排出量を相当減らしているので、素材の根本から考え直す必要があったという。”
“スペースヒッピーでは、工場の床に落ちた繊維などの廃棄物、ナイキのシューズやTシャツのリサイクル素材などを活用する。いわばほとんどゴミになる素材をよみがえらせて作ったシューズだ。全体の約9割が再生素材である。”
“話題の厚底シューズはソールが主役だが、スペースヒッピーは上側のアッパーが主役と言えるだろう。「宇宙ゴミの糸」と呼ぶ100%再生素材のニットで作っている。具体的には25%が回収したTシャツの繊維、25%が工場の床に落ちた糸くずなどの繊維会期物、50%がリサイクルのポリエステルである。ニットの色合いは利用する糸くずやシャツなどによって微妙に変わるという。あえて染料を加えていない。
“シューズのクッションとなるフォーム部分は、厚底のシューズなどの製造過程で出たフォームの廃材を再生。製造過程での炭素排出量を従来のほぼ半分に抑えたという。靴底のソール部分は遊び心を持たせている。通常の材料に、シューズを砕いた再生ラバー素材を混ぜている。ソールの中にさまざまな色のアクセントが入り、シューズごとに異なる模様となる。”
“スペースヒッピーは限定品ではなく、通常商品として米国では2020年の春、日本では同夏に販売を始める予定だ。ランニングシューズと同等の強度を持っており、運動にも利用できるという。ローカット2種類、ハイカット2種類を用意する。量産時には十分な量を供給できる体制を作る。ナイキ担当者は「我々は再生するための素材や繊維ゴミをたくさん持っている。スペースヒッピーのようなサステイナビリティ配慮のシューズを普及させることで、炭素排出の削減にインパクトを与えていきたい」と語っている。価格は製品によって120~160ドルと200ドル以内におさめる計画だ。「もし宇宙にいったらその場所にある素材や資源を使わなければならない。スペースヒッピーもそうして廃材を利用している。またリサイクルについて、できるだけナイキの中だけで閉じるエコシステムを作っていきたい」とのこと。”
スペースヒッピーは、夏には日本でも販売されるようです。私も店頭で現物を見てみたいと思います。できるだけ廃材を使って、しかも十分に使用できる、おしゃれな(?)シューズに仕上がっているのだと思います。おそらく購入してしまうでしょう。ナイキ担当者のコメントで「できるだけナイキの中だけで閉じるエコシステムを作っていきたい」という部分に共感を覚えます。ナイキは世界最大のスポーツシューズメーカーですから「再生するための素材や繊維ゴミ」は本当にたくさん持っているのでしょうね。世界中で販売するナイキの量産品ですから、相当の数量であることは間違いありません。ということは、相当量の廃材が再生されるということです。ナイキ社内では、スペースヒッピーのような廃材利用を他の製品へも展開してゆく計画があるようです。次の製品にも期待したいと思います。