スウェーデンのテック企業、製品のCO2排出量を簡単に計算できる無料ツールを開発

IT技術が日進月歩であることは色々なニュースで目にしています。しかし、こんなことまでできるようになったと聞くと、やっぱり驚いてしまいます。気候変動や地球温暖化についての関心は高まってきていますが、個々人のベースでなかなか具体的な行動につなげてゆくことは簡単ではありません。ここで紹介されている技術を使えば、私たちの活動が実際に与えている環境負荷を身近に理解することができます。このような経験を日々の生活の中で繰り返すことで、単なる情報の理解は納得した認識に変わり、そして具体的な行動につながってゆくのだと思います。

2020年8月28日付けSustainable Brands Japanに掲載された記事より、

スウェーデンのインパクト・テック「Doconomy(ドコノミー)」は、企業向けに、商品のカーボンフットプリント(CO2排出量)を迅速かつ正確に計算できるツール「2030 Calculator」の無料提供を始めた。これにより、企業はタグなどにカーボンフットプリントを掲載することで他ブランドとの差別化を図れ、市場においてもCO2の排出量削減の後押しになる。

Doconomy 2030 Calculator

“これまでのカーボンフットプリントの計算は複雑で、コストや時間のかかるものだった。製品ごとのライフサイクルアセスメント(LCA)を計算するのに数週間かかり、特に中小企業が行うのは難しかった。一方、「2020 Calculator」は、製品名や総重量、パッケージの有無などの情報を入力すると、結果が数分でわかる上にコストがかからない。企業にとっては透明性をより高め、消費者がより地球環境への負荷の少ない製品を選ぶ動機付けを行う手助けになる。”

“ドコノミーによれば、透明性を高めることで、新たなブランド・ロイヤリティを作り出すことが可能で、品質や価格に加えて、カーボンフットプリントに基づき製品を比較できることで、消費者の行動に大きな変化がもたらされるとしている。”

カーボンフットプリント(CO2排出量)を表示したタグ

“ベータ版(正式発表前の試用サンプル)「2030 Calculator」は、300以上の影響力指標の炭素排出量を使用しており、現在はアパレル業向けに最適化されている。ドコノミーによると、食品・飲料品や家具、家電製品を組む製品の計算も近日中に可能になるとのことだ。この無料の計算ツールによって、公表されているデータから、製品の開発から出荷までのCO2排出量の計算を行うことが可能になる。

“気候変動枠組条約(UNFCCC)の協賛パートナーでもあるドコノミーは、世界的な気候変動への影響について認知を拡大する一環として「2030 Calculator」を発表した。また、このツールはドコノミーによる包括的な環境負荷透明化プログラム「プラネット・ローヤルティ(Planet Loyalty)」の一つでもある。これは、カーボンラベルを意識的消費の基盤として確立することを目的としたプログラムだ。「2030 Calculator」は、サステイナビリティ、データ、気候変動インパクトといった分野の第一人者、LCAコンサルティングの2050やEYなどと共同で開発され、非財務諸表の保証業務に関する国際基準ISAE3000の認証を受けている。

「品質や価格に加えて、カーボンフットプリント(CO2排出量)に基づき製品を比較できる」ようになったら、みなさんの消費行動にどのような影響があるでしょうか。カーボンフットプリントが、価格や品質と同様に、消費者が製品を選択する際の新しい評価軸になれば、その製品を製造・販売する企業は、カーボンフットプリントを意識した素材選定、製造工程、パッケージング、輸送手段などを考えて商品企画を行うようになるでしょう。そのようなプロセスが、全体としてのCO2排出量削減につながってゆくと思われます。消費者に必要な情報を分かり易く伝える技術が発展することで、消費者の行動を促すことができます。しかし、私たち消費者の考え方や行動が最も大切であることは変わりありません。

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