号外:中国、2035年全て環境車に、通常のガソリン車は全廃

中国は2060年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を表明しました。その目標を達成する手段のひとつとして、環境対応車を大幅に普及させる自動車政策を打ち出しました。世界最大の自動車市場である中国の新しい政策は、世界の自動車大手の戦略にも大きな影響を与えます。

2020年10月27日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

中国政府は2035年をめどに新車販売のすべてを環境対応車にする方向で検討する。50%を電気自動車(EV)を柱とする新エネルギー車とし、残りの50%を占めるガソリン車はすべてハイブリッド車(HV)にする。世界最大の中国市場の方針転換は、世界の自動車大手にも対応を迫る。”

“中国の自動車専門家組織「中国自動車エンジニア学会」が「省エネルギー・新エネルギー車技術ロードマップ2.0」を10月27日発表した。工業情報化省の指導を受けて作成しており、中国の自動車政策はこのロードマップに基づいて実施される見通しだ。EVを中心とする新エネルギー車の比率を高める。2019年の新車販売に占める比率は5%だったが、ロードマップでは2025年に20%前後、2030年に40%前後、2035年に50%超まで高める。新エネルギー車の95%以上はEVとする。残りのガソリン車などは、すべて省エネ者のHVに切り替える。HVの比率を2025年にガソリン車などの50%、2030年に75%、2035年に100%に高め、HVではない従来型のガソリン車などは製造・販売を停止する方針だ。

中国の新エネルギー車普及計画

“習近平国家主席は9月、2060年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標を表明した。排出量世界1位の中国が脱炭素社会に移行するにはEVなどの爆発的普及が不可欠とみて、通常のガソリン車を全廃する大胆な方針転換を図る。”

“自動車の「脱ガソリン」は欧州が先行する。英国がガソリン車などの新規販売を2035年に禁止すると表明し、フランスも2040年までに同様の規制を設ける方針。9月には米カリフォルニア州が2035年までにガソリン車の販売禁止の方針を表明した。日本でHVやEVなどが販売台数に占める割合は2019年39.2%。政府は2030年に50%~70%にする目標だが、中国や欧州などに比べ見劣りする。

新車販売台数で世界最大の中国市場が、世界の自動車大手の戦略に影響を与えるのは確実だ。トヨタ自動車は9月の北京国際自動車ショーで、中国のHV累計販売台数が100万台を超えたと発表した。ホンダを含めHVに強い日系メーカーに有利との見方は多い。中国国有の重慶長安汽車と北京汽車集団は2025年までのガソリン車などの製造・販売停止を発表した。米中対立の先鋭化や国際物流の停滞にも備える。2035年には部品などを海外に依存しない中国独自のサプライチェーンを構築する。販売だけでなく技術でも世界をリードする「自動車強国」への転換をめざす。”

自動運転分野の開発を進める方針も示した。2030年に自動運転技術を高速道路や限定地域で実現。2035年に物流などを組み合わせた高度な自動運転技術を各地で実用化する。燃料電池車(FCV)に力を入れる方針も盛り込んだ。2025年に保有台数10万台、2035年には100万台にする。当面はバスなどでの利用拡大をめざす。”

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