号外:第26回気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)開催-②

日本は今年4月に、2030年度に温暖化ガスの排出量を2013年度比46%減らす目標を公表しました。そしてその実現に向けて、10月22日には新たな「エネルギー基本計画」を閣議決定しました。下記に各国・地域の削減目標や実行計画がありますが、国連気候変動枠組み条約事務局がパリ協定を批准した192の国と地域の目標を集計し、2030年時点の排出量は2010年比で16%増えるとの分析を公表しました。今後の取り組み強化についてはCOP26で議論されるでしょうが、日本は先ず4月に公表した目標を確実に実行することが求められます。衆議院選挙を目前に控えた時点で、そのための議論が深まっているかというと、私個人としてはまだまだ不十分ではないかと危惧しています。

<各国の排出削減目標>

“主要議題のひとつが「NDC」と呼ばれる、各国が掲げる温暖化ガスの削減目標と実行計画だ。日米欧などは既に国連気候変動枠組み条約事務局に最新の目標や計画を提出しているが、駆け込みで目標を出したり、首脳が新たな目標を表明したりする国もある。直近ではオーストラリアやロシア、サウジアラビアなどが新たな目標を表明した。日本は2030年度に温暖化ガスの排出量を2013年度比46%減らす目標を4月に公表した。従来の26%より大幅に引き上げた。10月に入って目標に向けた具体策を正式に決め、事務局に報告した。日米欧は2050年のカーボンニュートラル(炭素排出実質ゼロ)を長期目標に掲げているが、中国やロシアは目標年次を2060年としており、前倒しを迫る声が出ている。

主要国・地域の温暖化ガス排出削減目標

“国連気候変動枠組み条約事務局は10月25日、パリ協定を批准した192の国と地域の目標を集計し、2030年時点の排出量は2010年比で16%増えるとの分析を公表した。各国が取り組みを進めているのにむしろ増えてしまう。中国とインドが2030年目標を変えていないことが要因の一つだ。このままでは今世紀末の気温上昇は2.7度となり、パリ協定の目標に遠く及ばない。世界で加速する脱炭素の議論を背景に、先進国と途上国の双方が削減目標の上積みできるかが最大の焦点になっている。

CO2の排出量は近年、増加が鈍ってきたものの減少に転じてはいない。CO2の排出量は18世紀の産業革命から増え、1950年以降に急拡大した。2019年は1950年から6倍程度の水準となった。英オックスフォード大などが運営するデータベース「Our World in Data」によると、2019年の排出量は364億トン。排出量の多い中国の比率が28%、米国は15%、インドは7%と、3か国で世界の半分を占める。排出量の多い国の削減を進めることがカギになる。中国とインドを除くアジアで20%、欧州が15%、アフリカは4%、南米は3%だった。”

主要国・地域のCO2排出量推移

“脱炭素に向かう取り組みを巡っては先進国と新興国の間で溝がある。先進国は排出量の多い石炭火力発電を減らすよう働きかけを強めている。一方、経済成長でエネルギーの需要が増えている新興国からすれば、安価な石炭火力を活用したいとの意向が強い。英国を中心に主要7か国(G7)は自ら率先して排出削減を進めることで、それ以外の国の取り組みの強化を求めてきた。削減目標を更新していない中国とインドにさらなる対策に取り組むよう促すこともCOP26の大きな焦点になっている。

Follow me!