ナイキより「中国」が着たい

みなさんは中国のスポーツブランド、「李寧」「安踏」のことをご存知でしょうか?ナイキやアディダスに代表される欧米スポーツブランドに対抗して、中国国内でのシェアを拡大しているようです。

2021年11月5日付け日本経済新聞に掲載された記事より、

「『中国』の二文字が印刷されたデザインが大好き」。カナダの大学に留学中の20歳の中国人女子大生、呉さんは最近、ネット通販で「李寧(リーニン)」のシャツを買い父親に贈った。欧米のブランドと比べ「中国のブランドの方が新鮮に感じた」という。”

”中国のスポーツアパレル市場では長年、米ナイキや独アディダスといった欧米のブランドが高い人気を誇ってきた。だがここ数年、若年層を中心に中国のブランドが注目を集める。その代表格とされるのが、呉さんが買い求めた李寧だ。李寧は「体操王子」のニックネームで親しまれている1984年のロサンゼルス五輪の金メダリスト、李寧・共同最高経営責任者(CEO)が1990年に創業した。プロスポーツに強いブランドとして30年以上の歴史を誇るものの、2010年代初めには会社の業績が赤字になることもあった。”

ファッションショーでの中国利寧

”転機は2018年だった。「中国李寧」と漢字で大きく描いたロゴを用意して「ニューヨーク・ファッション・ウィーク」に出展し、鮮烈なデビューを飾った。街着として日常的に着られるファッション性の高い商品も増やし、若者が支持するブランドとして台頭した。李寧と同様に勢いのある中国ブランドが「安踏(アンタ)」だ。運営会社の安踏体育用品は1991年の創業で、最近では五輪のスポンサーとして中国の国旗をデザインに取り入れたウェアが注目される。2022年の北京冬季五輪を見据え、丁世忠CEOは「国旗の関連商品は新たな発展のチャンス」と意気込む。両ブランドの足元の業績は好調を維持している。2021年1~6月期の売上高は李寧(全社合計)が前年同期比6割増の101億元(約1800億円)、安踏も6割増の105億元になった。

”右肩上がりの背景には「Z世代」と称される、1990年代半ば以降に生まれた10代後半~20代前半の若者層の支持がある。これらの世代を中心に、国産ブランドを再評価する「国潮」と呼ぶトレンドが広がった。2021年春には、新疆ウイグル自治区産の綿花の使用をやめたナイキやアディダスなどの製品に対する中国国内での不買運動が起きた。その裏返しとしても中国ブランドの人気が高まっている。英ユーロモニターインターナショナルによると、中国のスポーツアパレル(靴を除く)の2020年の小売り販売額のシェア(見込み値)は、安踏が11.9%で3位、李寧が8.2%で5位となり、首位のアディダス(19.5%)と2位のナイキ(12.8%)を猛追する。“

中国で躍進する両ブランドだが、売上高の大半は中国内でグローバル化では後れを取っている。李寧の李CEOはかねて「中国発ブランドの李寧を世界で認められるようにする」と強調する。案踏の丁CEOもグローバル展開を加速する考えを示している。ただ世界でも通用するブランドになるためには、安定した品質の商品を提供し、消費者との信頼を積み重ねていくなど、華流ブランドの底力が試される。”

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