オンワード、1300店でネット商品試着

アパレル企業で電子商取引(EC)の強化、実店舗との融合が進んでいます。コロナ禍で業績が悪化したアパレル企業は、ECを活用して従来の実店舗中心の販売体制から、消費者へ商品を届けるシステムを見直し、過大な店舗在庫、売れ残り商品の安売りや廃棄を削減し、販売と店舗運営の効率化を目指しています。

2022年2月18日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

オンワードホールディングスは2024年までに1300店規模のほぼ全店を電子商取引(EC)と連携させる。消費者はECで扱う大半の商品を店舗に取り寄せて試着・購入できる。ECの売上高比率を3割から2030年までに5割に高める。店舗の低コスト運営も徹底する。新型コロナウイルス禍で衣料品市場が縮小するなか、アパレルがネットを軸に生き残りを目指す動きが広がってきた。“

オンワードHDのECと店舗融合の仕組み

”新型コロナウイルスの感染拡大による在宅定着や外出自粛を受け、衣料品市場は縮小している。矢野経済研究所によると2020年の市場規模は約7兆5000億円と前年比2割減った。アパレル各社の人員削減や閉店が相次いでおり、東京商工リサーチによると2021年に希望退職を募ったアパレル関係の上場企業は11社と全業種で最多だった。”

”オンワードHDはECシフトを急ぐ。自前のECサイトの使い勝手を高めるほか、店舗の役割を見直す。店舗は極力在庫を持たずショールーム機能を強める。従来は季節ごとに各店舗へ大量の商品を投入し、売れ残りをセールなどで処分していたため多額の処分損失が発生しがちだった。店舗家賃や販売に伴う人件費も効率化できるようになる。”

オンワードHDの店舗

”自社のEC「オンワードクローゼット」で商品を選び、試着を希望する店舗と日時を入力すると商品を店舗に取り寄せられる。ライセンスブランドを除き、「23区」や「組曲」など10ブランド超が対象になる見込み。従来の店舗は1ブランドしか扱っていなかったが、近隣店舗で扱っていないブランドも取り寄せられるようになる。試着してその場で購入することも、後日ECで購入することもできる。すでにECサイトや在庫を一元管理するシステムを整えた。”

”アパレル業界で消費者向け事業のEC比率を5割に高めるのは珍しい。EC比率はアダストリアが3割程度、ファーストリテイリングの国内ユニクロ事業が1割超となっている。これまで業界では「衣料品販売はECに不向き」と見る向きが多かった。オンワードHDは新型コロナウイルス感染拡大以降、業績が悪化している。2021年2月期は231億円の最終赤字と2年連続で最終赤字になった。コスト削減を進めるため、百貨店内に出展している店舗を中心に2年間で約1700店を閉鎖した。同社では商品の取り寄せサービスは拡大余地が大きいとみている。2021年2月から一部店舗で様々なブランドの商品を取り寄せるサービスを試験導入したところ、2021年3月~7月の売上高の49%、購入者の87%が同サービスを利用した。地方にないブランドの商品も購入できる点が好評という。”

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