横浜DeNAベイスターズ、選手に真っ白なユニフォームを
プロ野球選手のユニフォームは毎試合新調しているわけではありません。そう、クリーニング(洗濯・乾燥)しているのです。私たちの日常着とはちがって、泥汚れがひどいものもあるでしょうし、1人分でも大変な作業だと思います。しかもチーム全員分となると大変な量になるでしょう。このクリーニングを担当しているチームスタッフの話題です。プロ野球選手も洗濯・乾燥したユニフォームを着ているのだと考えると、今までより少し身近に感じられるような気がします。
2022年5月27日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、
”各チームが年間143試合を戦うプロ野球。真っ白なユニフォームを身にまとって臨む選手たちですが、スライディングやダイビングキャッチといったアグレッシブなプレーの証として試合後には泥だらけになることもしばしば。しかし次の試合にはまた真っ白なユニフォームでプレーボールの瞬間を迎えます。”
”ユニフォームは毎試合新調しているわけではありません。その都度、泥だらけになったものが美しく洗濯され、選手たちのもとへ再び届けられているのです。今回は横浜DeNAベイスターズの選手たちが着用するユニフォームを日々真っ白な状態へと洗濯し、選手のもとへ送り出すチーム運営部クリーニング担当に密着、その洗練された仕事ぶりを紹介します。”
”ベイスターズには球団内に専門スタッフが4人いて、育成選手を含む80人弱の選手、監督、コーチ陣、さらにチームスタッフ約60人のチームウェアを日々クリーニングして再び選手たちのもとへ届けています。5月下旬のある日、ベイスターズのファーム施設「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」の中にあるランドリーに1軍、ファームの選手、監督・コーチ、チームスタッフのチームウェアが届いていました。前日には1軍、ファームともに試合が行われており、まずはユニフォームとチームウェアが大量に詰まった大袋を手際よく仕分けする作業が始まります。”
”この大袋は成人男性でも腰を痛めそうなほど重いのですが、スタッフは黙々と決められた場所へと運んでいきます。ユニフォームは上下を分け、汚れが目立つものや破れのあるものも別にしておき、施設内に合計6台ある大型洗濯機と乾燥機をフル稼働させてきれいにしていきます。土汚れが目立つものは一度選択・乾燥した後、汚れに応じてブラシや薬液を使って手作業で丁寧に汚れを落としていきます。その後、再び洗濯・乾燥させてきれいにしていきます。薬液と水圧での洗浄を小刻みに行い、数センチ単位で徐々に泥汚れを落としていく姿はまさに職人です。”
”チームで4番に座る牧秀悟選手のユニフォームの汚れについて、チーム運営部クリーニング担当の関村英樹は「4番を務めながら、いつもスライディングなどでユニフォームが汚れて返ってくる選手は他球団でもなかなかいないんじゃないかな」と、親心も感じさせる笑顔で語ります。”
”汚れを落とすことに加えて、小さな破れがあれば専用の糊(のり)などを使って補修することもしばしば。洗濯・乾燥を終えた100人分を優に超える大量の衣類は畳み、そして仕分けの作業へと移っていきます。チームウェアにはソックスやタオルなど、着用着以外のアイテムも含まれます。そのため、1選手あたりの洗濯物の量はとても多くなります。4人のスタッフは洗濯・乾燥と並行して、畳み作業、背番号にあわせた配置を行っていきます。一連の作業は阿吽(あうん)の呼吸とも言えるスムーズな流れで着々と進んでいきます。”
”最終的に背番号とスタッフの名前ごとに並べられた衣類でフロア一面が埋め尽くされました。その量、そしてきれいに畳まれているさまは、初めて見た私は思わず圧倒されるほどのものでした。最終工程はパッキング作業です。まずは1人分の衣類を専用の機械に通してビニールに梱包。一つ一つの袋に空気穴を開け、中の空気を逃がしていきます。作業スピードは1人分につき5秒ほど。リズミカルかつスピーディーに次々とパッキングしていきます。作業開始時は「果たして今日中に終わるのか」と心配になるほどの量でしたが、4時間程度で洗濯・乾燥・泥汚れの除去から仕分け・梱包まで全て終了しました。”
”真っ白な姿を取り戻し、個別にパッキングされた衣類は1軍とファームへ運ばれていきました。「もうしばらくすると本日分のファーム練習着ですね」と関村。きょうもグラウンドの上で熱い戦いを見せてくれる選手たち。その陰には、熟練された技と熱いサポート精神を持ったクリーニングスタッフの存在があるのです。”