号外:世界のCO2排出量、日本のCO2排出量
人間の活動によって温室効果ガスが排出され、それが地球の温暖化につながっていると言われています。そして地球が温暖化することで、環境破壊や気候危機が顕在化しています。18世紀半ばの産業革命以来化石燃料が多く使われ、また森林伐採による開発を進めたため、大気中の温室効果ガスが急激に増えました。主要な温室効果ガスであるCO2の約80%が化石燃料の燃焼が原因とされています。
温室効果ガスの排出を抑制し、地球温暖化を緩和すること(サステイナビリティ)をテーマに考えているのですが、そもそも今日の私たちは世界的にどの程度のCO2を排出しているのでしょうか。
JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)資料
JCCCA(全国地球温暖化防止活動推進センター)の資料によると、2016年の世界のCO2排出量は約323億トン(!)とされています。約45年前の1973年に比べ世界のCO2排出量は約2倍に増えているとのことです。国別に見ると中国が世界の排出量の28%、アメリカが15%で、上位2国で世界全体の排出量の43%を占めています。ちなみに日本の排出量は全体の5番目で3.5%です。
2017年の国別1人当たりCO2排出量を見ると(EDMC:(一般財団法人)日本エネルギー研究所 / エネルギー・経済統計要覧2017年度版)、
1、アメリカ:15.8t/人
2、韓国:11.4t/人
3、ロシア:11.0t/人
4、日本:9.0t/人
5、ドイツ:8.7t/人
6、中国:6.8t/人
7、インド:1.6t/人
のようになっており、いわゆる先進国に住む人たちがCO2をより多く排出しています。
日本の総排出量推移は、(出典:温室効果ガスインベントリオフィス)
2013年:1,317百万トン
2014年:1,267
2015年:1,227
2016年:1,208(2013年比92%)
です。日本全体での排出量削減目標は2030年で2013年対比26%の削減です。まだまだ長い道のりが続きます。
2015年度日本の部門別CO2排出量資料(出典:温室効果ガスインベントリオフィス)
グラフが示すように、部門別ではエネルギー転換部門(発電部門)が約4割を占めています。これに産業部門と運輸部門を加えた3部門で、全体の84%を占めています。
2015年の電源別発電電力量の割合は、(電気事業連合会2016年資料より)火力発電が85%を占めています。2010年(総排出量は1,217百万トン)では火力発電の割合が62%で、原子力発電の割合が29%ありました。東日本大震災と福島第1原子力発電所の事故を経験して、原子力発電の割合が大きく低下し、火力発電の割合が拡大しています。必要な電力を確保するためにいたしかたないことですが、CO2の排出量削減にとっては逆風です、
日本としてのCO2排出量を削減してゆくためには、再生可能エネルギーによる発電量を拡大してゆくことが必須だと思います。また産業部門での技術革新による省エネルギー推進、運輸部門での燃費改善や電動化も重要な課題です。いずれも私たちの日々の生活に直結している分野で技術的なハードルも極めて高いと思いますが、この分野での排出量削減が進まないと、全体としての大きな削減にはつながらないと思われます。
廃棄物処理からのCO2排出は全体に対して2%で2,454万トン程度です。決して大きくありませんが、ここは私たちが知恵を絞って工夫することで削減できる部分です。
2009年の国内繊維製品の総供給量は198万トンで、内訳は天然繊維が80万トン、化合繊が118万トンです。この全量が焼却されたとしてCO2排出量を試算(天然繊維はセルロースとして計算)すると以下のようになります。(かなり大雑把な試算であることをご了承ください。)
天然繊維:80万トン X 0.444(①セルロースの排出係数)= 36万トン
化合繊:118万トン X 2.29(②合成繊維の排出係数) = 270万トン
天然繊維+化合繊 = 306万トン
2015年の部門別排出量における廃棄物の排出量が2,454万トンですから、年度も異なる比較になりますが、繊維製品を焼却して排出されるCO2は、そのうちの12%程度と思われます。
①NPO法人 環境市民HP:「家庭ごみと二酸化炭素」より
②環境省HP:「温室効果ガス排出量計算のための算定式及び排出係数一覧」より