ユニクロと東レが挑むペットボトル、古着再生服

ファーストリテイリング傘下のユニクロと、東レは9月16日、リサイクル材から作った新製品を2020年に発売すると発表しました。ユニクロの柳井会長兼社長は「リサイクルの効率性を高めてコストを下げ、従来品と同じぐらいの価格帯で販売する。」、「あらゆるビジネスの現場でサステイナビリティについて質問され、特に若い人は敏感だ。それに沿った製品を作ることは非常にプラスになる。」と語りました。

戦略的パートナーシップ

リサイクル材を使った新製品は2つあります。1つは、使用済みペットボトルからポリエステル繊維を製造し、高機能製品を作ることです。従来は異物混入などから特殊繊維の生産が難しかったのですが、東レが異物を除去するフィルタリング技術を開発し、課題を克服しました。使用済みペットボトルから高機能の速乾ウェア「ドライEX」を製造し、2020年春から発売します。

もう1つは、使用済みダウンをリサイクルした製品です。9月からユニクロの店頭で使用済みダウン製品を回収し、リサイクル材を一部に使ったダウンを2020年秋から発売します。従来はダウン製品を手作業で解体することが多かったため、効率性を高めるのが難しかったのですが、東レが自動でダウン製品の切断やダウンの分離、回収ができる装置を開発し、従来の手作業に比べて50倍の処理能力を実現しました。

ユニクロ:ドライEXとダウンジャケット

世界的にリサイクルなど環境対応が重視されており、リサイクル製品を発売するアパレルが増えています。しかしリサイクル材を使った高機能品は珍しく、またリサイクル材を使用することでコストが高くなるという課題がありました。従来から連携し、「ヒートテック」のような機能性ヒット商品を世に送り出してきた両社が、これらの課題を解決した新製品を発売します。

東レの日覺社長は、「リサイクルなどに対応できるように、以前からリサイクル技術を磨いてきた。ただ量が少なくては採算が合わない。ユニクロの店舗網と回収システムがあるから、事業としても成り立つ。」と語りました。

日本は海外に比べて、使用済みペットボトルを洗浄する家庭が多いため、比較的品質の良いペットボトルを多く回収できるという利点があります。また日本はペットボトルリサイクルの先進国です。日本のリサイクル率は85%ですが、これに対して欧州は40%、アメリカは20%程度と言われています。(ペットボトルリサイクル推進協議会HPより)みなさんの日頃の地道な、サステイナブルな努力が、このような新製品の開発にも貢献しています。

ダウン(羽毛)は天然素材です。ダウンジャケットのような防寒衣料や、羽毛布団などに使われています。軽くて保温性が高い優れた素材です。昔は高級品でなかなか手が出なかったのですが、今では量産効果もあって価格が下がり、冬の必需品になりました。この優れた素材を使い捨てにするのではなく、再利用するというのも有意義な試みだと思います。これまで触れてきたように、衣料品の素材分別は大変なのですが、ダウン(羽毛)は十分にそうするだけの価値を持った素材だと思います。

東レの日覺社長の言葉にもあるように、リサイクルには、技術はあっても量が伴わないと採算が合わないという側面があります。東レの技術と、ユニクロの販売量、さらに直営店舗での回収網を組み合わせることで、これらのリサイクル新製品は成り立っています。その意味でも非常に優れたパートナーシップです。

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