号外:さまよう廃プラ:輸出阻まれた日米欧、自国処理限界に

少し古いですが、2019年3月27日の日本経済新聞電子版の記事からです。

先進国のプラスティックごみが行き場を失っている。再資源用として大量に受け入れてきた中国が環境汚染を防ぐため輸入を禁止。代替の受け皿となった東南アジアも次々と規制強化に動いたからだ。日本経済新聞が日米と欧州連合(EU)28か国の貿易統計を集計した。日米欧の廃プラ輸出は09年以降、半期ベースで300万~360万トンを維持してきたが、18年1~6月は231万トンに急減。18年7~12月は170万トンと1年半で半減し、自国に押し戻された分の焼却や再資源化が追い付かなくなってきた。処理コストも上昇し、安易に海外に頼るごみのリサイクル網は再構築を迫られている。

日米欧の廃プラ輸出推移

“「世界のリサイクル工場」に育った中国が17年末に廃プラの輸入を禁じたことが最大の要因だ。食品容器やペットボトルなど廃プラは再生原料や加工品に利用できる。本来、輸出は洗浄・選別してから送るが、日米欧の仲介業者は汚れたままの状態で大量に送っていた。それでも売れたからだ。中国政府は処理過程で生じる汚染物質の影響を憂慮し、強硬な姿勢に転じた。これで国際リサイクル網は機能不全に陥った。

“日米欧はコストがかさむ自国処理を後回しにしてきたツケがまわり、自国内に廃プラが滞留する事態を招いている。年900万トンを排出する日本の輸出は150万~160万トンで推移してきたが、中国の禁輸以降は100万トンに減少した。この1年間で新たに約50万トン分が国内にとどまった計算になる。”

国内にたまり続ける廃プラは排出事業者のコストとして跳ね返る。産業廃棄物業者は、排出事業者から委託費を得て廃プラを仕入れ、洗浄や破砕など中間処理をしてから焼却施設や再生工場に送る。焼却施設の能力に限界があるため、焼却コストが上昇している。輸出も、中国より遠方(東南アジア)へ持ってゆけば輸送コストが増す。廃プラ流通のあらゆる段階でコストがかさむようになった。”

バングラディッシュでの廃プラ再処理

日本は行政主導によるごみの分別収集の体制が比較的整っている国です。廃プラごみのなかで、前に取り上げたペットボトルについては約60万トン強が回収され、リサイクル率は85%です。

再生ポリエステル繊維:PETボトルリサイクルのひとつの出口>の項参照

しかしここでも、再資源化量約50万トンのうち20万トンが海外向けとなっています。ペットボトル以外の廃プラはどのように処理・流通しているのかというと、この記事に記載されている内容が実態です。日本では総量で年間900万トンの廃プラごみが排出され、そのうち150万~160万トンが再生原料や加工品に利用するために輸出されていたのです。PETボトルの一部のように国内でリサイクルされるものもあるでしょうが、かなりの量が可燃ごみとして焼却されているようです。しかも中国の廃プラ禁輸を契機として、国内での再資源化、焼却処理能力がひっ迫し、処理コストが上昇し、排出事業者の負担が増しているとのことです。持続可能社会(サステイナビリティ)を考えるのであれば、自分たちが出したゴミ(廃棄物)は自分たちで(自国内で)処理するのが当然だと思います。自国で処理できる範囲に廃棄物を減量することを考えるべきです。

これまでにも色々と触れてきましたが、廃プラに限らず、ごみ(廃棄物)の減量は避けて通れません。そのうち国内がごみで溢れてしまいそうです。日本では可燃ごみは焼却されますが、焼却すればCO2を排出します。可能なものは廃棄(焼却)せずに国内でリサイクルすることをもっと進めてゆかねばならないと思います。

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