号外:2023年の世界平均気温上昇、最高の14.98度
2015年に合意された「パリ協定」の目標は、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2℃未満に、できれば1.5℃までに抑えることです。しかし世界の平均気温は上昇を続けていて、反転する兆しが見えません。温暖化対策を強化しなければならないのですが、なかなか世界の足並みが揃いません。総論(「パリ協定」)では合意できていても、目標を達成するための具体的行動においては、各国の個別事情に配慮せざるを得ないからです。このままでは目標値の達成はますます困難になってしまいます。
2023年1月10日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、
“欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は1月9日、2023年の世界平均気温が14.98度と、記録が残る1850年以降で最高だったと発表した。産業革命前と同程度とされる1850~1900年の平均より1.48度高く、気温上昇を1.5度に抑えるとする温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標値に迫った。昨年11月に2023年が観測史上最も暑い年になるとの見通しを示したが、実際の気温を基に世界平均気温の記録更新を発表したのは初めて。”
“コペルニクス気候変動サービスは、2023年の平均気温の上昇は4~12月の海面水温が記録的に高かったためだと説明。大気中の温暖化ガス濃度が観測史上最高レベルに達したことや、南米ペルー沖の海面水温が上がる「エルニーニョ現象」が7月以降、強まり続けたことが海面水温の上昇を招いたと指摘した。”
“2023年はアジアや北米、欧州、アフリカが熱波に見舞われ、カナダやギリシャで山火事が相次いだ。平均気温は、これまで最も高かった2016年を0.17度上回った。北半球が夏となる6~8月の平均気温は16.77度、秋となる9~11月は15.30度でいずれも史上最高。7月の平均気温は16.95度で、単月の平均としても最高だった。12月の平均気温は13.51度で、同月の平均としては最も高かった。”