ファッション・ウィーク参加者のトラベル・フットプリントを測定

ファッション・ウィークは、シーズン毎に開催されるファッションブランドの新作発表会です。世界4都市(ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリ)で開催されるファッション・ウィークは、世界4大コレクションと呼ばれています。

2020年3月20日付けSustainable Brand Japanに掲載された記事より、

“ニューヨーク、ロンドン、ミラノ、パリを含む国際的なファッション・ウィークのトラベル・カーボンフットプリントが初めて計測された。1年間で、国際的ファッション・ウィークに参加した5096人のデザイナーと、2697社の小売業者のバイヤーが排出したCO2の排出量を計測した(*)。”

(*)ファッション・テクノロジー企業「ORDRE」社と英カーボン・トラストの共同発表レーポート「Zero to Market」より

カーボンフットプリント:排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算し、環境負荷を定量的に算定したもの

“すべてを合わせると、この業界で24万4000トンものCO2が、卸売の購買活動によって排出されていることになる。これは、自動車では5万1000台の排出量に匹敵し、ニューヨークのタイムズ・スクエアを58年間、パリのエッフェル塔を3060年間明るくするのと同レベルだ。バイヤー一人当たりのカーボンフットプリントは12.1トンで、これは一般の人の平均より2倍高い。”

“数十年にわたり、この業界ではファッション・ウィークに参加するために飛行機などで移動することが一般的だった。今回初めて、この一連の移動によって排出されるCO2の影響が明らかになった。ファッション業界はイノベーションによって繁栄してきた業界だ。ORDRE社はビジネスとしてのファッションを考える新しい視点として、移動を減らし、オンラインでコレクションを発表することを提案している。”

“ORDRE社は、この報告書が業界全体を巻き込んだインターナショナル・ファッション・ウィークの在り方を考えるきっかけとなり、よりサステイナブルなビジネス形態を模索することを期待している。例えば、ファッション・ウィークのスケジュールをまとめたり、廃止したり、もしくは移動する必要のないバーチャルなショールーム(オンライン)も検討可能だろう。”

“ファッション業界の環境フットプリントに関する議論はサプライチェーン(製品の製造や物流)に集中しがちだ。しかし、業界全体のシステムを考慮する必要がある。止めどなく生み出される新作や、新たな製品の需要を高めるトレンドづくり、世界的なファッション・ウィーク、展示会やランウェイショーそしてそれらに関連する移動などを含めた業界の在り方全体を考慮しなければならない。”

世界4大コレクションと呼ばれるファッション・ウィークと、そこでシーズン毎に繰り広げられる華やかなファッションショーは、まさにファッション産業の象徴的なイベントです。「ファッション」は個人の多様な価値観や嗜好を反映し、その服やアクセサリーを身に付ける人に幸福感をもたらしています。その華やかさに託された夢もあります。しかし、現在のファッション産業が様々な環境負荷と膨大な「無駄」を生み出していることも事実です。

世界中の人々が、計画的に生産され必要十分な機能を備えたシンプルなユニフォームを着用すれば、環境負荷は低減できるでしょう。しかし、とてもそれが現実的な解決策とは思えません。ファッション産業は、よりサステイナブルな産業として継続されなければなりません。環境配慮という視点を加えて、ビジネスモデルを再構築することが必要です。そのための試行錯誤がいたるところで続いています。

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