良品計画、苦闘する「MUJI」

2020年4月21日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“良品計画が世界展開する「MUJI」ブランドに、新型コロナウイルスによる過剰在庫の山が重くのしかかっている。欧米ではほぼ全店舗が休業しており、全国に緊急事態宣言が出た日本国内も9割が休業か時短営業中。春夏物アパレル商品などで安易に値引きセールに走れば、ブランドの世界観を傷つけかねない。

4月20日時点のMUJI店舗営業状況

過剰在庫はコロナウイルス感染症で始まった話ではない。韓国での半日不買、香港の政情不安、消費増税、暖冬に見舞われた2020年2月期は、2期連続の増収営業減益だった。その原因が需要予測を誤って抱えた過剰在庫なのだ。期末の棚卸資産は1054億円と前期末に比べて2割増。良品計画はこのうち約200億円を過剰在庫とみなしている。これに春夏物の「コロナ在庫」が上乗せされる。秋冬物は発注を抑える方針だが、感染症の終息が見通せない限り、さらなる過剰在庫となるリスクは消えない。在庫処分セールの芽は摘めず、経営の重要テーマとしてきた在庫適正化のゴールは遠のいた。”

値引きセールは「MUJI」「無印良品」のブランドを毀損する懸念がある。衣食住を幅広く扱っており、「都会的でシンプル、上質」といった統一的な世界観に自身のライフスタイルを重ねる固定ファンが少なくないからだ。環境負荷を抑えた洗剤など「エコ」のイメージも早くから打ち出してきた。安売りでブランドがいったん傷つくと、イメージや価格帯はそう簡単に回復しない。同じSPA(製造小売り)でも、価格と機能性を追求する「ユニクロ」や「ニトリ」といったカテゴリーキラーに比べると、値引きによるブランド毀損の打撃が相対的に大きい可能性がある。

中国では全店舗で営業再開したものの、2020年8月期決算に反映される1~3月の既存店売上高は前年同期比で半減した。日本国内は3月こそマイナス15%程度だったが、緊急事態宣言で休業が広がった4月以降は一段の落ち込みが避けられない。「MUJI」ブランドを守りつつ、過剰在庫をさばくことができるか。この局面で対応を誤れば、新型コロナウイルス感染症後の中長期的な成長シナリオに影を落としかねない。”

自宅の近くの駅ビルにある「MUJI」の店舗も、平日は営業時間を短縮し、週末は休業しています。緊急事態宣言が出された状況下では、やむを得ない対応だと思います。消費者の日々の生活を支えるために営業している食料品やドラッグストアなどの店舗での対応も大変だと思いますが、アパレルや生活雑貨を取り扱う店舗が受けている打撃は非常に大きいのではないかと思います。特にシーズン性のある商品は、販売時期を逃すと余剰在庫になってしまいます。値引き販売してでも在庫を削減するのか、ブランドイメージを守るために次シーズンへ持ち越すのか、いずれにしても企業にとっては難しい経営判断になります。手前で余剰在庫の懸念があると、次シーズンの商品企画や商品の生産・発注にも影響が出ます。ビジネスにとっては、感染症の影響は短期的な売上減少だけではなく、オペレーションの継続全般に及びます。当面の間は、営業自粛や外出自粛などの影響を受ける企業、特に中小企業や個人事業者、またそこで働く従業員の方々への支援をしっかり実施しながら、感染症対策に集中することが必要です。一日も早く感染症をコントロールし、少しずつでも「日常」を取り戻してゆくことが、結局は経済の再建にもつながってゆくのだと思います。

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