アパレル在庫の廃棄減らすマッチングサイト
2020年7月20日付け日経ビジネス電子版に掲載された記事より、
“新型コロナウイルス感染症対策による百貨店やショッピングモールの休業が続いたため、アパレル各社が大量の製品在庫を抱えている。こうした在庫の売り方として、注目を集めるのが、ウィファブリック(大阪市)が展開する在庫の仕入れ・卸サイト「SMASELL(スマセル)」だ。”
“スマセルは、B to Bのマッチングサービスに当たる。まず、アパレルブランドやセレクトショップなどのサプライヤーが商品を登録する。それを個人事業主、小売店など企業のバイヤーが買い付ける。「ヤフオク!」「アマゾン」などのサイト、「メルカリ」などのフリーマーケット(フリマ)アプリなどで衣料を販売する個人事業主が多いという。売買が成立したら、スマセルは20%の手数料を引いて、サプライヤーに代金を支払う。商品の発送はサプライヤーが担当する。物流倉庫を持たないサプライヤーの場合はウィファブリックの物流倉庫で預かって発送し、手数料はその分高くする。”
“自宅にあった衣類をフリマアプリで売り切り、次の小遣い稼ぎのために個人事業主としてECサイトなどで衣類を扱い始める人が多い。アパレルブランドは小ロットの取引はしないが、スマセル経由なら仕入れられる。衣類に関心がある個人が未使用品を各種ECサイトに出品するような形になるので、安売りによるブランドイメージ毀損が起きにくいという。”
“創業者がスマセルのようなマッチングサービスを始めた理由は、売れ残ったアパレル商品の大量廃棄による環境破壊を減らそうと考えたことだという。日本国内では毎年生産される衣料の半分近くが一度も着られないまま捨てられるとされる。起業当初は廃棄になる生地や糸を回収し、環境配慮を売りにした新しいブランドの衣料を売ろうとしたが、量が伸びない。”
“そこで、インターネットを介したシェアリングサービスの急成長に着目し、スマセルを立ち上げた。バイヤーには、当初リサイクルショップや大手ディスカウントショップを想定していたが、これらではファックスによる発注が主流だったため、ネットになじまず、立ち上がりには苦戦した。しかし、スマホユーザーのアクセスが多かったことから、ECサイトで衣類を売る個人事業主に狙いを変えたところ、利用件数が一気に増えて軌道に乗った。6月末には登録バイヤーは1万5000人に達し、年内には10万人の登録を目指すという。また現在のサプライヤー登録は970社にのぼる。”
ふむ、ネットインフラを活用して、在庫を抱えたアパレル業者と、ECサイトで小遣い稼ぎをする個人事業者をつなぐというビジネスモデルですが、「このようなビジネスモデルも成立するのか」というのが率直な感想です。「衣類に関心がある個人が未使用品を各種ECサイトに出品するような形になるので、安売りによるブランドイメージ毀損が起きにくい」とのことですが、私にはなかなか理解しにくい説明です。売れ残り衣料品の大量廃棄はアパレル業界の大きな問題です。アパレル企業は、2次流通(在庫処分販売業者)やウィファブリックが提供するサービス等を利用して、廃棄するのではなく、ともかく販売してゆく(消費者に使用してもらう)努力を継続しなければなりません。しかし、今年の感染症による影響は特別だとしても、そもそも大量の売れ残り在庫(余剰在庫)が発生しないように、アパレル企業の生産・販売システムを再構築することが必要です。それにしても、ウィファブリックの登録サプライヤーは970社もあるのですね・・・