号外:1兆本の植林活動「1t.org」に米企業や自治体が参加

私は以前、アメリカのカリフォルニア州サンフランシスコ市近郊に住んでいたことがあります。当時も乾期(4月から11月頃まではほとんど雨が降りません)になると、山火事の発生はありましたが、ここ数年程ひどい状況ではなかったように思います。9月9日には、サンフランシスコ市やその周辺に山火事による大量の煙が流れ込み、空が一日中、暗いオレンジ色に染まる現象が起こりました。日光が遮られたため昼間も薄暗く、「まるで火星のようだ」と現地メディアが伝えていました。私にとっては、信じられない光景でした。

赤く染まったサンフランシスコの空

2020年9月17日付けSustainable Brands Japanに掲載された記事より、

米西部で深刻な山火事が続いている。健全で回復力のある森林は、気候変動の影響を軽減するカギとなる。森林には気温を9℃下げ、エネルギーコストを年間で78億ドル削減する力があると言われる。8月、全米の26の企業や市町村、団体は世界的に広がる1兆本の植林活動「1t.org」に参加することを表明した。この活動は米国の8億5500万本の木を保全、再生し、さらに育てて行くことを約束するものだ。近年の猛暑や山火事など気候変動によるさまざまな影響に立ち向かっていく狙いがある。

“今年、世界経済フォーラムはスイス・ダボスで開催された年次総会で「1t.org」を打ち出した。「1t.org」は、国連が2021-2030年を「生態系回復の10年」と定めた動きを支援するためのプラットフォームだ。失われてきた生態系の回復を世界規模で行い、気候危機に立ち向かい、食の安全性を高め、きれいな水を供給し、地球の生物多様性を保全することを目標としている。世界経済フォーラムとNPOアメリカン・フォレストは、米国内の故人や団体が森林保護活動を行うにあたって必要なツールや技術的な支援を提供してゆく。”

“参画するのは、アマゾン、バンク・オブ・アメリカ、クリフバー、ヒューレット・パッカード、マスターカード、マイクロソフト、ペプシコ、セールスフォース、ティンバーランド、アメリカ森林財団、アーバーデイ基金、全米森林協会、国立森林財団、そしてアイダホ州ボイシー、ミシガン州デトロイト、テキサス州ダラス、アリゾナ州ツーソンといった都市が国内の森林保護に積極的に乗り出している。”

健全な森林は、気候危機に対処するための自然の原理に基づく重要な解決策だ。山火事はひどくなる一方で、カリフォルニアなどの西海岸の州の自然を徐々に消滅させている。近年、企業やNPOが山火事の影響が最も悲惨な地域の森林を再生するための計画に乗り出している。「1.org」は、米国の森林をさらに保全し、再生するための全体的で長期的な取り組みとなるはずだ。”

アメリカの山火事

“森林に投資をすることは経済や公衆衛生の質にも影響する。特に新型コロナウイルス感染症によって、経済のみならず公衆衛生も大打撃を受けている現在のような時代にはなおさらだ。最近の世界経済フォーラムのレポートによると、世界の森林を持続可能な方法で管理することは、2030年までに2300億ドル規模のビジネスチャンスと世界中で1600万人もの雇用を生み出すことにつながるようだ。健康の面で言うと、森林は毎年1740万トンもの大気汚染物質を吸収し、67万件に及ぶ喘息や急性の呼吸器系障害を予防できると言われている。”

アマゾン川流域では開発のために熱帯雨林が伐採され、アメリカ西海岸では山火事のために広大な面積の森林が失われつつあります。森林がいったん失われてしまえば、植林を進めたとしても、その再生には長い時間がかかります。その間にも地球温暖化そして気候変動は厳しさを増すでしょう。「健全で回復力のある森林は、気候変動の影響を軽減するカギとなる」のですから、その保全のために迅速に行動しなければなりません。

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