号外:鉄道18社、全社が最終赤字 今期計1.2兆円!

日本では、鉄道が私たちの生活に密着した交通手段です。通勤、通学、ちょっとしたお出かけ、そして旅行にも鉄道を使う機会が多いと思います。比較的狭い国土の中に、鉄道網が張り巡らされ、私たちの生活を支えています。以前住んでいた欧州(ドイツ)やアメリカは、大都市圏を例外として車社会です。長距離の移動には航空機+車(自家用車やレンタカー)というのが一般的です。鉄道があっても、駅間が長く、自宅から駅までは自家用車でなければたどり着けないといった状態です。その日本で極めて重要な生活インフラである鉄道が、今年の新型コロナウイルス感染症の拡大によって大きな打撃を受けています。皆さんもご存知のように、航空業界も大きな打撃を受けていますが、鉄道各社の業績は、私たちの生活により直接的な影響を及ぼす可能性があります。都市部の私鉄各社も苦戦していますが、JR各社が抱えるローカル線の存続が心配です。もともと赤字だった路線もあり、JR各社の体力が低下し、減便や廃線の方向へ議論が向かうことが懸念されます。赤字は問題ですが、それぞれの地域では欠くことのできない交通手段であり、代替が利かないケースもあると思われます。

2020年11月12日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“鉄道大手の業績回復が遅れている。2021年3月期の最終損益は主要18社がすべて赤字となり、赤字額の合計は1兆2560億円になる見通し。政府の観光支援事業「Go to トラベル」の効果は一部で出ているものの、出張需要や訪日客需要は回復のメドが立たない。各社は固定費の削減を急ぐ。”

鉄道大手の2020年度業績見通し

売上高は18社合計で前期比4兆6429億円(32%)減の9兆7967億円になる見通し。売上高の減少額が最も大きいのはJR東日本。2021年3月期の連結売上高は前期比1兆166億円(35%)減の1兆9300億円と想定する。観光や出張需要の低迷で10月の新幹線など中長距離輸送の収入は前年同月比5割減だった。通期の最終損益は4180億円の赤字(前期は1984億円の黒字)を見込む。新幹線の比率が高いJR東海も売上高が前期比9816億円(53%)減の8630億円に落ち込む。”

通勤・通学などの定期券収入の比率が高い関東や関西の私鉄は比較的減収幅が小さい。東武鉄道の売上高は1362億円(21%)減の5176億円、阪急阪神ホールディングスは1876億円(25%)減の5750億円となる。それでも全社とも最終赤字になるのは避けられないとみている。

来期以降も旅客需要は完全に戻らないとの見方が強く、各社は収益改善のためコスト削減を急ぐ。JR東は賞与減額や一部の修繕費先送りなど、今期の固定費を920億円削減する。中期的にも通勤時間帯の本数削減や運転・点検の自動化などで業務の効率化を図る。東北や新潟などの赤字路線の減便や人員削減なども焦点になる。

“東急は、一般管理部門の経費を2割削減する目標を緊急で掲げた。事務などバックヤード業務のデジタル化にも取り組むという。西武ホールディングスは宿泊施設の再休業などで固定費を620億円圧縮する。終電時刻を繰り上げて夜間の工事費を削減する動きも相次いでいる。大手私鉄幹部からは、融資枠を確保し当面の資金繰りには余裕があるが、財務改善のために資産の売却を検討するとの声も聞こえている。”

鉄道各社が企業としての継続、存続を考えることは当然のことですが、鉄道が公共サービスであるという側面を考慮し(十分に考慮されていると思いますが)、バランスの取れた対策を採っていただきたいと思います。私も、昔は地方のJRローカル線を利用して高校へ通っていました。

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