号外!:花粉症と新型コロナウイルス感染症

唐突ですが、私は花粉症持ちです。子供の頃は田舎暮らし(九州地方)で平気だったのですが、大学進学で東京に移った頃から発症したように思います。花粉が飛ぶシーズンになると、クシャミが出たり、鼻水が止まらなかったりします。頭がぼっとして意識が集中できず、仕事や日常生活に支障をきたすというほどひどくはないのですが、厄介なことには変わりありません。今年もこれからシーズンに突入するので気になっていたのですが、そこに下記の記事を見つけて、ますます憂鬱になってきました。

2021年1月12日付け日経Gooday 30+電子版に掲載された記事より、

2021年春の花粉飛散量は、広い範囲で昨シーズンより多くなりそうだ。花粉症の症状が引き起こす、くしゃみをする、目をこする、といった動作は、新型コロナウイルス感染症の拡大につながりかねない。そのため、今季はこれまで以上に徹底した花粉症対策が必要だ。”

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないなか、また花粉の季節が近づいてきた。日本気象協会などの発表によると2021年春の花粉飛散量(スギ、ヒノキ、北海道ではシラカバ)は例年よりは少ないものの、昨シーズンより多い地域が多数ある。花粉症の人の割合は地域によっても異なるが、2016年に東京都が行った調査では都全体でスギ花粉症推定有病率は48.8%に達していた。まさに花粉症は国民病だ。症状の程度は「マスクなどで花粉を避ければなんとかしのげる」といった軽症者から、「病院で治療を受けていても仕事や日常生活に支障をきたしている」といった最重症者までさまざまだ。”

“厚生労働省の会議で日本感染症学会の感染症専門医の議論では、「今シーズンは、重症度を問わず全ての花粉症患者で症状ゼロを目指したい」との結論にいたった。意外に思われるかもしれないが、花粉症は新型コロナウイルス感染症と同じ呼吸器系の疾患であるため、新型コロナウイルス感染症の流行に関与する可能性があるのだ。両者の関連が懸念される大きなポイントは下記の2点だ。”

*くしゃみによる花粉症患者から周囲へのウイルスの拡散

新型コロナウイルスは、感染しても症状の出ない人(無症候感染者)が多いことは知られている。無症候感染者が他の人に感染させるリスクがどれくらいあるかは研究途上にあるが、感染者が花粉症になり電車内などでくしゃみをすることで、たとえマスクをしていてもウイルスを拡散させてしまう可能性がある。

*花粉症症状で花粉症患者自身へのウイルス感染リスクが高まる

花粉症患者は、鼻水を拭いたり、目をこすったりしがち。つり革などを触った手で、口元、鼻、目などを頻繁に触ることで新型コロナウイルスの感染リスクが高まる。

“「花粉症のせいで新型コロナウイルスが急拡大するという事態を避けるためには、患者と医師が一緒になって、例年以上に花粉症の症状改善に努めることが大切だ」としている。”

花粉症発症のメカニズム

花粉はどのようなメカニズムで「くしゃみ」「鼻づまり」「鼻水」「長引くせき」「目のかゆみ」「涙」「肌荒れ」といった多様な症状を引き起こすのだろうか。まず鼻、目、口などに花粉が入る(1)。マスクや花粉対策メガネなどを使って花粉の侵入を防ぐ努力をしても、花粉の侵入を完全に防ぐことはできない。防ぎきれなかった花粉が粘膜に入ると、患者の体内では、免疫細胞の一種であるB細胞がその情報をキャッチ。B細胞はlgE抗体(免疫グロブリンE)を作り(2)、このlgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合する(3)。肥満細胞に結合したlgE抗体が再び花粉侵入の情報をキャッチすると(4)、肥満細胞は花粉を解除しようとヒスタミン、ロイコトリエンといった物質を放出(5)。これらが粘膜細胞に作用すると(6)、花粉を吹き飛ばそうとくしゃみが出たり、花粉を洗い流そうと大量の鼻水が出たりする。このとき粘膜の毛細血管が拡張し、鼻づまり、目のかゆみなども起きる(7)わけだ。”

“花粉症の治療薬として長く使われてきたのは、肥満細胞が放出するヒスタミンの働きをブロックする抗ヒスタミン薬だ。飲めば比較的すぐにくしゃみや鼻水は止まる薬だったが、副作用として「眠気」などがあり「飲みたくない」という患者も多かった。そこで登場したのは眠気を少なくした第2世代の抗ヒスタミン薬や、抗ロイコトリエン薬だ。また、ステロイド鼻噴霧薬(スプレー)も局所だけに作用するため安全な薬剤として広く使われるようになった。”

私も、新型コロナウイルス感染症への注意、対応は可能な限り実施しています。みんながマスクや手洗いを励行することで、昨シーズンはインフルエンザの流行が抑えられたという副次効果もあったようです(新型コロナウイルスの感染力は、例年のインフルエンザウイルスよりも強いということでもありますが・・・)。しかし、花粉症が新型コロナウイルスの感染リスクを高めると言われると、私のような花粉症持ちは、これからのシーズンは極めて憂鬱です。憂鬱だと言っているばかりではしょうがないので、できるだけ花粉の侵入を抑え、適切な治療薬を使って、何とかこのシーズンを乗り切りたいと思います。

Follow me!