号外:発売後にすぐ完売、Pasco(敷島製パン)のコオロギ入り菓子

現在の世界人口は約77億人で、2050年頃にはおよそ100億人まで増加すると言われています(国連の人口推計による)。国連世界食糧計画(WFP)の食糧危機と飢餓に関するレポートでは、2019年の世界飢餓人口は1.35億人で、過去最悪になったと報告しています。また飢餓の一歩手前で栄養不足状態の人は、飢餓とは別に1.83億人いるとしています。私が子供の頃には世界の人口は36億人と習った記憶がありますから、近年、世界人口は急激に増加しています。そして食料が不足しています。現在の飢餓問題には、世界の食料配分がうまく機能していない側面もありますが、このまま世界人口が100億人を超えるまで増加すれば、食糧の絶対量が不足する懸念があります。また地球温暖化や気候変動は、食糧生産にとってはマイナスの影響を与えるでしょう。世界で必要な食料を確保し、飢餓に陥る人がいないように分配するシステムを構築しなければなりません。環境負荷が少なく、次世代たんぱく質供給資源のひとつとしてコオロギに注目が集まっています。コオロギを食べる未来が近づいてきているのかもしれません。日本では昔(今でも?)イナゴを食用にしていました。私自身はイナゴを食べたことはありませんが、イナゴやコオロギが環境負荷の少ないたんぱく質源ならば、これからは真剣に考えてゆく必要がありそうです。

2020年12月11日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、

Pascoの「Korogi Café」シリーズ

「Pasco」ブランドで知られる敷島製パン(名古屋市)は2020年12月1日、オンラインショップ限定でコオロギパウダーを使用したフィナンシェとバゲットを販売した。開始と同時に注文が入り始め、翌日には売り切れたという。敷島製パンが今回発売したのは、食用コオロギパウダーを使用した、Pasco未来食Labo「Korogi Café」シリーズ。「コオロギのフィナンシェ」(6個入り)を100箱と「コオロギのバゲット」を100本、「フィナンシェとバゲットのセット」を100セット販売し、実験的な位置付けとして事前に告知を行わなかったにもかかわらず、販売開始直後から注文が続き、2日には全ての商品が完売した。”

コオロギのフィナンシェ

“コオロギのフィナンシェは、コオロギパウダー「10匹分」と「30匹分」の2種類が3個ずつ入っている。30匹分の方が色味が濃く、ナッツのような香りも強く感じた。味は一般的なフィナンシェとほとんど変わらないが、食べ比べると30匹分の方がモッチリとした食感があった。「10匹と30匹を比較することで、味の違いからコオロギを食べていることを実感しやすくなります。これがコオロギの味なんだということを実感してもらい、昆虫食というハードルを下げるために、2段階に分けました」(同社)。20匹分も入れて3段階にする案もあったが、味の差が分かりにくくなることから断念。50匹分はザラっとした感じが口の中に残り、食べにくさから採用が見送られた。”

“バゲットの見た目や味は、ライ麦パンに近い。オーブンで焼いてバターを付けると、一般的なパンと同じように楽しむことができた。バゲットには100匹分のパウダーを使用している。”

コオロギのバゲット

コオロギは、世界の環境問題や食料危機を解決するのに役立つ資源の1つとされる。飼育に必要なエサや排出する温暖化ガスが牛や豚などの飼育に比べて少なく、重さの6~7割がたんぱく質だ。環境に優しい社会を目指す、サステイナブルな考え方が広がる中で、次世代のたんぱく質として注目が集まっている。敷島製パンは、2017年から昆虫の食用利用について調査研究を始めた。フタホシコオロギやヨーロッパイエコオロギを使った5種類のパウダーを世界中から集め、2018年秋からさまざまなパンで試作を開始。しかし、粒子が粗かったり、口の中に違和感が残ったりする課題があり、商品とうまく組み合わせることができなかった。”

“試行錯誤を続ける中、2019年10月に出会ったのが、高崎経済大学発のベンチャー企業であるFuturenaut(フューチャーノート、群馬県・高崎市)だった。タイで生産されたヨーロッパイエコオロギを使用したパウダーで、他のサンプルに比べるとクセがなく不快な苦みや後味が残らず、粒子が細かく香りも良いことから、パンに合うと考えられた。2020年2月には、社内に昆虫食などを研究する「未来食品プロジェクト」が立ち上がった。パンの種類をバゲットに決定し、商品にフィナンシェを加え、製品化に向けて大きく動き出した。”

“発売までの半年間で、コオロギを扱うことのリスクを下げるためにいろいろな工夫をしたという。例えば、「他のパンがおいしくなくなる」といった風評被害を想定し、専用の施設で製造していることを明記。また、パウダーにはエビやカニに似た成分が含まれるが、コオロギにアレルギー表示の決まりはない。安全を考え、箱に「本品で使用している食用コオロギパウダーは、エビやカニなどの甲殻類と類似した成分が含まれています。エビやカニのアレルギーをお持ちの方はお控えください」といった一文を記載することなどを、消費者庁と話し合ってきた。”

“Korogi Caféシリーズは実験的な位置付けで、大量生産は難しい。2021年1月下旬には数量限定で再販を予定しており、その売れ行きも見つつ、さらに商品ラインアップを広げていく考えだ。”

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