ユニクロ全商品約9%値下げ、本体価格をそのまま「税込み価格」に

4月から小売業は消費税を含む価格を明示するように義務付けられます。これまでは特例として税込み価格の非表示が認められていました。消費税が引き上げられてからある程度の時間が経過しているので、実際に日々買い物をしている時には、時々確認する程度で、あまり表示が気になってはいませんでした。現在、本体価格の表示のみ、あるいは「〇〇円(本体価格)+消費税」というような表示をしている場合には、消費税を含む支払総額がわかるような表示に、値札を付け替える必要があります。「値札を付け替える」と言っても、これはとんでもない作業ですよね。実際の対応については、小売り各社で色々検討されているようです。

2021年3月4日付け日経ビジネス電子版に掲載された記事より、

“消費税率引き上げに伴う特例措置が3月末に終了し、4月から小売業は消費税を含む価格を明示するよう義務付けられる。ファーストリテイリング(ユニクロ、GUなど)は現在、税抜き価格で表示している値札を変えず、本体価格自体を変更することで対応する。その結果、消費者の支払総額は現在より約9.1%安くなる。2000年代前半には「デフレの勝ち組」と言われたファーストリテイリングが一斉値下げを決めたことは、ほかの消費関連企業にも影響を与えそうだ。”

“消費税率の引き上げに伴い、2013年10月に施行された消費税転嫁対策特別措置法は、特例として税込み価格の非表示を認めている。だがこの措置が今年3月末で終わることから、小売り各社は4月以降、消費税相当額を含む支払総額が一目でわかるような表示を義務付けられる。ユニクロとGUは現在、値札を税抜き価格のみで表示している。このため、例えば現在「3990円」としている商品は、4月以降、消費者が実質支払う「4389円」を表示する値札に付け替えなければならない。「3990円(税込み4389円)」など税抜き価格との併記は認められるが、ファーストリテイリングは、本体価格を値下げすることで値札に付けた金額を変えず、そのまま税込み価格にした方が消費者にとって分かりやすいと判断したようだ。

ユニクロとGUでは以前、個別商品の値札は「〇〇円+消費税」と表示していた。ところが最近、多くの商品は「+消費税」部分の表記がない値札に切り替わっていた。総額表示への対応は水面下で進められていたようだ。

“強気の値下げを決めた背景には、新型コロナウイルス感染症で広がる景気や雇用の先行き不安がある。加えて、既存店とEC(電子商取引)を合わせた国内ユニクロ事業の売上高が、2020年6月から2021年2月まで9ヶ月連続で前年同期比プラスを維持するなど、ファーストリテイリング自体の業績は好調。在宅勤務との相性が良いことや下着などの消耗品を手がけることが追い風になっており、値下げすることでさらなる取り込みを図る狙いがあるようだ。

“総額表示への対応とは別に、GUは昨年12月、2021年の春夏商品を値下げすると発表。全商品の6割を占める女性向けが中心で、例えばワンピースは2020年比で最大3割値下げした。総額表示を取り入れている良品計画の「無印良品」は昨秋、衣料品を値下げしたほか、今春、生活雑貨を2~3割値下げすると表明。カインズやコメリなどのホームセンターも昨秋以降、広範な品未区で値下げを実施するなど、業界を問わず、低価格競争が再燃している。

Follow me!