ユニクロとジル・サンダーのコラボレーション

知名度が高く、意外性のあるブランド同士がコラボレーションすることは、話題を集め、売り上げや集客につながる効果があります。ただより重要なのは、異なる性格のブランドと組むことで、互いに刺激を与えあい、創造力が磨かれることです。そこに成功するかどうかのカギがあります。その意味で、ユニクロとジル・サンダーのコラボレーションは非常に成功した例だと言われています。

2021年4月12日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、

初回は2009年、ユニクロのパリ・オペラ旗艦店オープンに合わせてのことだった。世界のファッションデザイナーの中でもトップに位置するジル・サンダーがユニクロとコラボレーションすることは、驚きとともに受け止められた。”

“ファッションデザイナーの中でも、ジル・サンダーのこだわりは有名だった。一見するとシンプルな構築美を表現しているようで、パターンや縫製も含めてディテールまで徹底して追及する。それが身に着けたときのフィット感や、独特なシルエットを作り上げている。創造力と技術力に対し、厳しいまなざしを持ったデザイナーと評価されていた。”

“ユニクロの知名度は今ほどではなかったが、パリ旗艦店オープンという意味で大きな注目を集めた。コラボレーション・ラインは「+ J(プラスジェイ)」と名付けられ、特設コーナーで展開された。デザインも作りもしっかりしていて、価格はリーズナブル。他のユニクロの商品に比べて高いものの、もちろんジル・サンダーのオリジナルコレクションより圧倒的に安い。技術を込めたものづくり、装飾を拝したシンプルな美しさなどは、ユニクロが大事にしてきたことであり、ジル・サンダーの服作りに通じるものがあった。

ジル・サンダーの「ファーストリテイリングの交渉力や国内外の流通ネットワークによって、高品質なデザインを大衆向けの価格で作ることができる」というコメントが、これをよく表している。ユニクロはジル・サンダーとコラボレーションすることで、ブランドの持っている創造性を世に広く知らしめることができた。”

“パリ旗艦店への評価はどうだったのか。+ J目当てに訪れた人々が、ヒートテックやウルトラライトダウンといった他のユニクロ商品を購入するなど、パリ旗艦店は存在感を示した。ユニクロが次のステップにむかう礎石をつくったと言っても過言ではない。”

ジル・サンダーとのコラボレーションは5シーズンにわたって続けられた。そして2020年、再び取り組んだ。きっかけはユニクロのハンブルグ旗艦店オープン。2度目のコラボレーションも、双方のイメージを高める方向に働いた。力を付けたユニクロと、デザイナーとして安定した地位を屑いているジル・サンダーとの組み合わせは、前回のコラボレーションを知らない人にとっては新鮮で魅力的な組み合わせであり、知っている人にとっては進化の度合いに興味を抱く企画だった。”

“ユニクロが掲げている「Life Wear = 美意識のある合理性を持ち、シンプルで上質、細部への工夫に満ちている。生活ニーズから考え抜かれ、進化し続ける普段着」という考えを体現するという意味でもタイムリーな企画だった。日本はもとより、各国で好評を得た。

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