号外:講談社など3社、書籍流通へ参入

今回は、ファッションとは関係ありませんが、「本」についての話題です。私は本が好きです。高尚な内容の本を読むのではなく、歴史関係や、国内外のミステリー、冒険小説、SFなどを読み飛ばしています。「How Toモノ」やビジネス書籍の関係は苦手で、必要最低限といった感じです。本を読んでいる時間が好きですし、少しですけど自分の言葉や知恵が増えているような気がします。本を好きであると同時に、「本屋さん」が好きです。本を買うときは、作者やタイトルがわかっている特定の本を買うこともありますが、ともかく書店へ出かけて、たくさんある本の中から「おもしろそうな本」探して購入するのが好きです。もちろん、その内容には当たり外れがあるのですが、そのようにして選んだ本がおもしろいと、なんだかとても得したような気分になります。

今さら私ごときが言うまでもなく、年々出版物のデジタル化が進み、街の書店も減少の一途です。私は電子書籍を購入したことがありません。手で触れて、本棚に並んでいる本の存在感が気に入っています。カバンの中には、いつも読みかけの本が1~2冊入っていて、それを重いと思ったことはありません。昨年来のコロナ禍の影響もあり、私が書店へ行く機会もすっかり減ってしまいました。アマゾンなどネットショッピングを使えば、便利ですし、欲しい本を手に入れることはできます。しかし、書店を巡ることで得られる「本との出会い」のような醍醐味は薄れてしまうように思います。下記は、2021年5月13日付け日本経済新聞電子版に掲載された、出版物流通についての話題です。

講談社と集英社、小学館は、全国の書店に書籍や雑誌を届ける流通事業を始める。丸紅を加えた4社で年内に共同出資会社を設ける。出版流通は取次会社が担ってきたが約4割は売れずに返品されている。新会社では販売データなどに基づく需要予測で各書店の客層にあった書籍を届け、市場縮小が続く出版業界の生き残りを狙う。”

紙の出版物の市場規模推移

出版流通は日販グループホールディングスとトーハンの2社による寡占状態で、出版社が流通を手掛けるのは異例だ。出版大手3社は紙の出版市場で約3割のシェアを握っているとみられる。新会社は丸紅が過半を出資し、残りを3社が分担する。当初の資本金は数億円で、2年後をめどに100億円規模とする予定。他の中小出版社の出版物の流通も請け負う方針だ。狙うのは書籍流通のデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。売り場面積、過去の販売データ、地域性などをもとに、書店ごとにニーズのある本や数量を人工知能(AI)で予測。実売率を上げて返品に伴う無駄な配送を減らし、出版社や書店が負担している流通コストを2~3割減らす。

“配送の実務は運送会社などに委託する見通し。無線自動識別(RFID)タグを活用し、在庫もリアルタイムで管理する。大手取次は書店の規模に応じて売れ筋を中心とした画一的な出版物を送る「パターン配本」という仕組みを採ってきた。書店側が自ら注文する手間を省ける利点があったが、消費者の需要に合わず返品率は4割弱と高止まりしている。一方で取次会社の収益は、人手不足による物流費の高騰で悪化。日販とトーハンはコストの増加分の一部を出版大手に転嫁している。”

紙の出版物の2020年の推定販売額は1兆2237億円で、16年連続で前年割れ。国内の書店数は1万1024店で20年前と比べて半減している。講談社などは流通改革でこれ以上の市場縮小を食い止める考えだ。背景には急速に進む書籍のデジタル化もある。講談社の2020年11月期の単独決算では、電子書籍や版権収入が紙の雑誌や書籍販売を初めて上回った。紙の出版市場が縮小するなか、大手出版社の成長はデジタル事業がけん引する。紙の出版物を中心に扱う取次大手の存在感は低下していた。アマゾンジャパン(東京・目黒)は出版社との直接取引を進めており、KADOKAWAなど多くの出版社が取次を介さずに取引している。取次を中心とした書籍の流通構造は1940年代から続くが、変革の波が押し寄せている。”

出版業界のデジタル化が進むことを否定的に捉えることはありませんが、アナログな「紙の本」と「書店での流通」を愛している、私のような人間もいます。これ以上、街の本屋さんが減らないように、それぞれの経営がちゃんと成り立っていくように、願ってやみません。

ところで、書籍のデジタル化が進むと、図書館での貸し出しなんかはどうなるのでしょうかね。ちょっと心配です。

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