号外:中国製太陽光パネルに強制労働の疑い

世界で脱炭素を目指して、再生可能エネルギーの利用拡大が進められています。その中で太陽光発電の拡大は大きなテーマです。太陽光発電では太陽光パネルを使いますが、その供給量は中国が最大です。中国での太陽光パネルの生産に、ウイグル族の強制労働が関係しているという疑念が持ち上がっています。事実であれば非常に残念なことで、早急にその解決が図られなければなりません。再生可能エネルギーの普及・拡大に支障をきたす可能性がある深刻な問題です。

2021年7月5日付け日経ESG電子版に掲載された記事より、

”太陽光パネルに関するある報告が注目を集めている。主要部材が、中国・新疆ウイグル自治区で作られ、人権侵害の疑いがあるという。2021年1月、米紙が米コンサルティング会社のホライゾンアドバイザリーによる報告として報じた。4月には米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が取り上げ、日本でも注目を集め始めた。”

”CSISによれば、イスラム教徒の少数民族であるウイグル族を中国当局が強制収容し、収容施設で職業訓練と称して無償や低賃金の労働を強いている。この施設で、太陽光を電力に変える部材に使う多結晶シリコンを製造しているという。中国当局は、強制労働を否定している。”

”世界中で急速に導入量が拡大した太陽光発電は、安価な中国製パネルに支えられてきた。世界のパネル生産に占める中国のシェアは発電容量(kW)ベースで2019年に約7割だった。太陽光パネルのほとんどが多結晶シリコンを採用している。CSISは、世界大手シリコンメーカー5社のうち4社が新疆にあり、人件費の安いウイグル族収容施設で製造した多結晶シリコンを採用しているとの見方を示す。市場の95%以上のシリコン製パネル部材が、同地区で作られている可能性があるとの指摘もある。

”CSISは中国製パネルが安い理由をもう1つ挙げる。新疆は、石炭埋蔵量が豊富だ。発電コストが安い非効率な石炭火力発電の電力で、多結晶シリコンを焼き固める高温の炉を稼働させているとみられる。中国でも電力料金が最も安い地域だという。”

2020年度、日本は太陽光パネル輸入額の約8割を中国に支払った。現在、日本政府はこの問題で明確な姿勢を打ち出すには至っていない。再生可能エネルギー電力を調達する企業もこの問題は様子見のもようだ。だが米中関係など国際情勢によっては、人権保護の国際基準である「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく対応が求められる可能性も否めない。脱炭素のカギを握る再生可能エネルギーの導入拡大に、影を落としている。

世界の太陽光パネルシェア、日本の輸入国別シェア

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