高島屋、古着を回収し新たな衣料へ再生する取り組みを開始

百貨店の高島屋が、アパレル各社や日本環境設計と連携して、店頭で回収した古着を新たな衣料へ再生する取り組みを開始します。様々な素材を組み合わせて作られる衣料品は、素材分別やリサイクルが難しい製品です。いったん市場に投入された服は、製品寿命を終えれば必ず廃棄物になってしまいます。その衣料廃棄物をそのまま処分(焼却や埋め立て)するのではなく、リサイクルして新たな服に再生することができれば、資源消費を抑制し、環境負荷を低減する循環型ビジネスモデルとすることができます。色々と課題はあるのでしょうが、一過性のイベントにとどまることなく、小売りとメーカーの連携によって市場に定着していくことを期待しています。

2021年9月23日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

高島屋はアパレルメーカーと店頭で回収した衣料を再生し、販売する取り組みを始める。10月から三陽商会など15社・ブランドが発売し、最大100社ほどに広げる。百貨店での販路を確保しつつ、量産効果を出して収益も確保しやすくすることで再生衣料の普及につなげる。消費者の環境意識が高まるなか、価格面を含め持続可能な循環システムを構築する。

”小売りとメーカーが再生衣料で大規模に連携するのは珍しい。まずは秋冬物のコートなど約40種類の商品を高島屋の店頭やオンラインサイトで売り出す。発売の合わせ高島屋店頭で一定期間、他社製も含めてあらゆる衣料品の回収を始める。集めた衣料品はポリエステルを使用したものを選別、分解して再生樹脂を生産する。リサイクル事業を手掛ける日本環境設計(川崎市)と連携する。再生樹脂は高島屋の取引先の紡績工場で再びポリエステル糸に加工する。綿や絹といった素材についても固形燃料などとして再資源化する。”

”再生ポリエステル糸を使って、三陽商会の「マッキントッシュフィロソフィー」や、アウトドアブランド「ホワイトマウンテニアリング」などが新商品を企画、販売する。今回販売するのは6万円台のコートなど、通常品と同程度の価格帯を多くする。”

”再生ポリエステルは石油の使用量を低減でき、日本環境設計の試算ではポリエステル樹脂を1トン製造する時のCO2排出量で、再生ポリエステルを使う場合は原油から精製する場合に比べて6割減る。一方でコストは高くなるが、百貨店の高価格帯のアパレルならば、原材料の上昇分を吸収し、採算もとれるとみている。他のアパレルや人気クリエーターなどの参加を募り、規模を拡大することで一段とコストを下げられる。環境意識の高まりから、衣料を循環させる取り組みは世界的な潮流になっている。

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