IKEUCHI ORGANIC、タオルを脱消耗品に

サステイナビリティの基本は、手間をかけた良い製品をできるだけ長く大切に使うことです。例えばタオルはどうでしょうか。みなさんはどのくらいの頻度でタオルを洗濯しますか。タオルは、使い続けるうちにだんだんとふくらみがなくなってきますよね。タオルのパイルがほつれることもよくあります。きっと手入れの仕方が悪いのだと思います。自社製タオルの洗濯・乾燥や補修事業を始める、今治市のタオルメーカーの話題です。

2021年10月25日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

イケウチオーガニックのタオル

”今治のタオルメーカーのIKEUCHI ORGANIC(イケウチオーガニック、愛媛県今治市)は2022年春から自社製タオルの補修事業に乗り出す。消耗品のイメージが強いタオルを長持ちさせることで費用対効果の良さをアピール、高価格帯商品の販売増加につなげる。環境負荷の高い大量生産・消費への対応策として、SDGs(国連の持続可能な開発目標)への関心の高まりにも応える。”

”イケウチは2022年3月をメドに自社製タオルの洗濯やほつれなどの補修を担うサービスを始める。タオル生産のノウハウを生かし、個々の特性や使用状況に合わせて適切に洗濯・乾燥して補修も請け負う。本社工場の建屋内に業務用の洗濯・乾燥機を1台ずつ導入しサービスの拠点にする。サービスの料金は未定だが、全国から主に配送で受け付け、3年度までに全体の売上高の10%を同事業で稼ぎたい考えだ。”

同社の商品はバスタオルで1枚5千円~1万円と高価だが、洗濯や乾燥が適切であれば5~10年は使い続けられるという。ただ、適した洗濯は高温で大量の水を使ってせっけんで洗うなどで、家庭で実施するにはハードルが高かった。補修サービスにより購入頻度が減る懸念はあるが、消耗品としてのタオルの価値観を変え、まずは同社の高価格タオルの購入を促したい考え。また、買い替えの費用がかからない分をタオル以外の製品に関心を持ってもらえるようにする。”

”自社での補修サービスに先駆け、10月からはコインランドリー運営のOKULAB(オクラボ、東京・渋谷)と組んで、タオル専用の洗濯サービスを始めた。イケウチの阿部哲也社長が監修し、洗濯時の水流やつけ置きの時間などで試行錯誤を重ね事業化にこぎつけた。両社が共同開発による事業化の検討を始めたのは2020年。新型コロナウイルスの影響で在宅時間が増えて個人向けタオルの需要が高まるなか、事業化を模索していたが自社設備がなかったイケウチとタオルの洗濯サービスに目を付けていたオクラボの思惑が一致した。オクラボが洗濯サービスを提供し、イケウチはPRなどで協力する。”

”イケウチの阿部社長は「コロナ禍でSDGsへの関心が高まるなど消費者の認識が変わってきた」と話し、最近は「値段が高くても長く使える方がいい」と考える消費者も増えているという。同社は環境負荷が少なく安全なタオル作りを目指してきた。例えば、本社工場の電力は全て再生可能エネルギーを使ったとみなす「グリーン電力証書」で賄い、安全面でも食品安全管理の国際規格を取得している。タオルを長持ちさせ、資源を有効活用する新サービスは同社の企業理念とも合致する。

”コロナ禍による外出自粛で、イベント向けなどのタオル需要は落ち込んでいる。その一方で、新しい働き方で在宅時間が増えるなど、生活スタイルを見直そうとする個人によるタオルの新しい需要が生まれ始めている。タオルを使い捨てにしないという新サービスに込めた同社の企業理念が消費者の共感を呼び、新たなファンの獲得につながることが期待されている。

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