クラボウ、今治タオルの端切れが「奈良靴下に」

2021年11月17日付け日本経済新聞に掲載された記事より、

クラボウは全国の繊維産業が盛んな地域と連携し、端切れや売れ残った服を回収し、糸や布に戻して再利用する。まず愛媛県今治市のタオル工場から出る端切れから糸をつくり、奈良県大和高田市などで生産する靴下の原料にする。産地と産地を繋ぎ、SDGs(持続可能な開発目標)に合致した事業として力を入れる。”

今治タオルと靴下

”衣料品などのムダをなくす取り組みは「アップサイクル」と呼ばれ、スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)などアパレルの世界大手も取り組む。アシックスは東京五輪・パラリンピックで大会関係者に提供したオフィシャルウェアに、廃棄されるスポーツウェアを再生した糸を使った。メーカーが自社製品を再利用するのが主流で、産地とネットワークをつくるのは珍しい。クラボウは今治タオル工業組合(愛媛県今治市)、「奈良靴下」の産地にある奈良県靴下工業協同組合(奈良県大和高田市)と連携する。”

”今治のタオル工場で出る端切れを、今治タオル工業組合が集める。タオルは縫製段階で布の15~20%が端切れになるという。集まった端切れをクラボウは安城工場(愛知県安城市)でふわふわの綿に戻し、再び糸に紡績する。紡績し直した糸は奈良県靴下工業協同組合に納入する。同組合は加盟する工場に糸を卸す。通常の糸に比べ3割ほど高いものの、知名度の高い今治タオル由来を売りにする。”

”再製品化は端切れの繊維が短すぎたり、十分な強度を持たせるのが難しかったりした。短すぎる繊維を取り除く技術や、新たに混ぜる綿の比率の研究を重ねてクリアした。当初は綿のみ対象で、合成繊維への対応も研究する。端切れは様々な色を含む。このため再製品化した糸や布の色合いは均一でなく、独特の風合いがある。

”クラボウは多くの産地と付き合いがあり、2023年中をめどに全国の産地に取り組みへの参加を呼び掛ける予定だ。産地が生産した商品をアパレルに紹介し販売も後押しする。再製品化した糸や布は2023年に百数十トンの生産を目指す。地方の繊維産地ではSDGsに対する意識が大手ほど高まっていない。クラボウは、アップサイクルのハブとして貢献していく考えだ。”

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