号外:洋上風力発電、期待される再生可能エネルギーの活用
しばらく前の日本経済新聞電子版(2019年7月25日)で、欧州の洋上風力発電について取り上げていました。再生エネルギーの中でも洋上風力発電は大型化とコスト低減が進み需要が拡大しているようです。大型風力発電機のブレード(羽根)の回転直径は164メートルにおよび、1分間に12~13回転します。ブレード先端部の速さは毎時350キロと新幹線の走行速度を上回ります。風力発電機は固定されているように見えますが、実は油圧で動いていて、風見鶏のように自動的に風の来る方向に回転しています。またブレードは風の強さに応じて傾きを変え、風が弱ければ受ける面積を増やしています。
洋上風力発電が欧州で普及した理由は、北欧を中心に遠浅の海が多く、建設費を抑えて大型化できるためです。最新型は1機で8000キロワットの発電量があり、洋上でこれを50~100機近く並べ、小型原子力発電や火力発電に匹敵する電力を生み出します。陸上風力発電ではできないスケールの大きさが洋上風力発電の強みです。2018年末の洋上風力発電の総出力累計は約2300万キロワットと2015年比で2倍になっています。2018年の新規導入は430万キロワットで、このうち約6割を欧州、4割弱を中国が占めています。
今後は更なる大型化が検討されています。また洋上風力発電はコストが安くなってきており、各国がメリットを感じ始めているとのことです。また海底に設置するのではなく、浮かべる「フローティング」などの新技術も出てきており、これまでは遠浅の北欧が中心でしたが、今後は風が強いが海が深い地中海や太平洋でも開発が進むと言われています。
日本の再生エネルギーといえば水力発電ですが、これはダムの建設可能場所に限りがあり、これ以上増やすのは難しいと思います。陸上の風力発電については、国土が狭く山岳部が多い地形のため、大規模な施設の建設は難しいでしょう。安定的に電力を供給するため、また火力発電所からの温室効果ガス排出増加を抑制するために原子力発電を推進したのですが、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故を経験し、その方針が見直されています。太陽光、地熱といった発電技術もありますが、大規模な発電には不向きで、補完的な役割を果たすように思います。日本は海に囲まれた国です。日本で洋上風力発電が普及すれば、これは大きな力になると思います。「フローティング」のような新技術を活かして、日本の洋上風力発電開発が進むことでサステイナビリティに貢献してゆくことを期待しています。台風の影響がちょっと心配ですが・・・