リサイクルとタイムラグ:あなたは衣料品を何年使いますか?

これは衣料品に限ったことではありませんが、新たにリサイクル(あるいは生分解処理)のシステムを考える時には、対象となる製品の企画だけでなく、回収の方法や実際のリサイクル等の処理の仕方を合わせて考えなくてはなりません。回収や処理をスムーズに行うために、製品の企画や仕様に制約が発生する場合もありますし、製品を販売する時点ではどのような回収や処理をするのかを明示して、消費者や使用者へ説明し理解を求めなくてはなりません。システムの全体構成を検討し、必要な準備を進めなければなりません。

システムの全体構成を検討する時に結構厄介なのが、製品の製造・販売と使用後製品の回収・処理の間に発生するタイムラグです。皆さんは一着の衣料品を何シーズン着用しますか。もちろん服種によって、あるいは人によっても使用期間は異なるでしょう。下着や靴下等はほぼ毎年(あるいはもっと頻繁に)買い替えるでしょうし、シャツやズボンであれば2~3年は使うのではないでしょうか。コートやジャケットのようなアウターウェアーの場合は3~5年程度でしょうか?つまり衣料品が製造・販売された後、その製品の使用期間が経過してから回収やリサイクルが発生します。衣料品の平均使用期間が3年とすると、製造・販売の3年後に回収・リサイクルすることになりますから、3年後の準備をして備えておかねばならないということです。これは言うのは簡単ですが、結構大変なことです。例えば画期的なリサイクル技術を開発したとします。リサイクル試験および将来のリサイクル処理のための設備を整え、製品を企画・製造・販売したとしても、実際の回収・リサイクルが発生するのは最初の製品が販売されてから数年後のことであり、その間せっかくのリサイクル設備は遊んでいることになります。また使用後製品の回収率が想定より低ければ、リサイクル処理の単位にならないかもしれません。このような懸念点を抱えながら、かなりの覚悟を決めてシステムを立ち上げなくてはなりません。

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