号外:熱波襲来!GoogleやOracleの英クラウドサービスに障害

欧州では気候変動の影響による熱波が猛威を振るっています。「暑い」のは人間だけではありません。今や社会基盤となったITサービスも猛暑の被害を受けています。日本では7月2日から5日にかけて、KDDI(au、UQ mobile、povoなど)で大規模な通信障害が発生しました。こちらは気候変動とは関係ありませんでしたが、通信障害が我々の日常生活に与える影響の大きさを再認識することになりました。データセンターなど基幹設備の維持管理には気候変動の影響も考慮する必要がありそうです。

2022年7月20日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

イギリスの熱波(イメージ)

記録的な熱波に襲われた英国で7月19日、米グーグルと米オラクルのクラウドコンピューティングサービスに障害が発生した。想定を上回る気温上昇により、空調機器が故障し、サーバーなどが一時的に利用できなくなった。IT(情報技術)社会を支える基盤にも気候変動が影を落としている。

”「ヨーロッパ・ウエスト2aゾーンにある建物のひとつで冷却装置が故障した」。グーグルのクラウド部門、グーグルクラウドは米西部時間7月19日午前10時(日本時間20日午前2時)すぎ、サービスの提供状況を通知するサイトで障害の発生を告知した。同ゾーンはロンドンに立地し、英国などの顧客企業にサービスを提供していた。グーグルクラウドはサーバーなどが過熱して損傷するのを防ぐため、電源を落として対応した。冷却装置を約6時間後に復旧させ、サービスも順次再開している。ただ、米西部時間19日午後11時時点では一部が使えない状態が続いている。”

”被害の具体的な範囲については明らかにしていないが、英ネット専業銀行のアトムバンクは19日、ツイッターを通じて顧客に「グーグルクラウドに関連して障害が発生している」と通知した。アプリが一時的に利用できなくなっているほか、送金に遅れが生じる可能性があると説明している。”

オラクルのロンドン拠点でも19日に障害が発生した。同社は米西部時間午前9時前に「季節外れの気温の結果、データセンター内の冷却装置の一部に問題が発生した」と説明し、グーグルと同様に過熱による損傷を防ぐためにサーバーなどの電源を切ったと明らかにした。約7時間後に影響を受けた一部のサービスを再開し、全面復旧に向けた作業を続けた。”

ロンドンの7月の平均最高気温は20度台前半だが、19日には郊外のヒースロー空港で観測史上最高となる40.2度を記録した。各社はデータセンターの立地に応じて空調機器の能力を決めて設置している。想定を大幅に上回る気温上昇により、冷却能力が追いつかなくなり、一部の装置の停止につながったもようだ。

大量のサーバーやネットワーク機器を設置するデータセンターは電力消費量が多い。このうち機器を冷やして正常に稼働させる空調機器は約40%を占めるとされている。各社は温暖化ガスの排出を減らす観点から、寒冷地にデータセンターを設置し、冷たい外気を冷却に使うといった工夫を重ねてきた。気候変動による熱波が続けば、こうした取り組みは見直しを迫られる可能性がある。より能力が高い冷却装置の導入が必要になると、コスト増にもつながりかねない。グーグルが2030年までに事業で使うすべての電力で脱炭素を目指すなどIT各社は環境対応を競っているが、事業継続のためにも実現が急務になっている。”

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