ASKET、衣服の環境コストが書かれたレシート
スウェーデンのアパレル企業Asketが消費者の環境配慮意識を喚起するために実施している取り組みを紹介した記事です。衣料品における環境配慮の基本は、手間をかけた良い製品を、できるだけ長く大切に使うことです。またアパレル企業は無駄な製品を生産しないこと、消費者は必要以上の服を購入しないことも大切です。この記事に触れて、パタゴニアの「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」というメッセージを思い起こしました。アパレル企業は作って売る、消費者は買って廃棄するというビジネスが、継続できないことは明らかです。アパレル企業と消費者が、“無駄の少ない、持続可能なファッションビジネス”を実現するために、協力・努力することが必要です。
<パタゴニアの自社内循環>の項を参照
2022年6月29日付けYahoo JAPAN SDGsに掲載された記事より、
“素材の生産に使う水の量、製造にかかるエネルギー、輸送で出るCO2の量・・・。1枚のTシャツを購入したとき、何の気なしに見たレシートにこんなことが書かれていたら、あなたはどうするだろうか。スウェーデンのメンズウェアブランドAsketが、販売する衣服に特殊なレシートをつけるキャンペーン「The Impact Receipt」を始めた。値段ではなく実際にかかる環境負荷を書き込むことで、商品を手に取った人に、責任ある買い物について考えてもらう取り組みだ。レシートに書かれているのは、購入したアイテムの「原料生産、素材製造、製品製造、仕上げ、輸送」といったそれぞれの工程の「CO2インパクト(kg)、水(m3)、エネルギー(mJ)」の内訳で、合計部分には商品の「真のコスト」と書かれている。”
“Tシャツの「真のコスト」は、CO2インパクト(1.89g)、水(35.10m3)、エネルギー(44.1mJ)だという。その内訳は下表のとおりだ(下表の合計数値との誤差あり)。数値は同じスウェーデンの調査機関RiSE(Research Institute Sweden)とのパートナーシップのもとに割り出している。今回対象となるのは、AsketのTシャツ、オックスフォード、チノ、およびメリノニットウェアの4種類の商品だ。”
“ASKET公式サイトには、今回の取り組みについて次のように書かれている。「”サステイナビリティ“をスキップ。変化の”責任“を持つことにトライ。これらの事実をあなたと共有します。あなたは、身にまとう衣服の真のコストを知る必要があるからです。得体のしれないものを口に入れないのと同じように、服でもそうすべきではありません。その行為は無責任です。The Impact Receiptは、単なる取引ではなく、ASKETの商品にお金をかけるときの合意を意味します。自分の持っている影響を知ってください。買う量を少なくし、一つの製品を長く使ってください。」”
“サステイナビリティ(持続可能性)ではなくレスポンシビリティ(責任)。アパレル業界は流行を作り出し、次々と新商品を投入し、消費者の購買意欲を焚きつけるが、Asketは商品を販売することで成り立つ事業をしているにも関わらず、無駄買いを諫めている。ファッションは、文化を豊かにするものではあるが、大きな環境負荷を生んでいる産業でもある。ただ利益を追求するのではなく、業界の課題にしっかりと目を向けるAsketの取り組みは、ユーモアがあると同時に、非常に勇気があるといえるだろう。”