土屋鞄、キノコ繊維活用の小型財布などを12月に発売

先日、サボテンから皮革代替素材を開発したメキシコ企業の話題を取り上げました。今度は、キノコの菌糸体から開発した皮革代替素材を使用して商品開発を進めている日本企業の話題です。生育に多くの飼料や水が必要な動物の皮革製品は、環境への負荷が大きく、動物愛護の観点からも懸念が高まっています。石油由来の人工皮革や合成素材も、製造から廃棄までの過程で環境負荷がかかります。サボテンやキノコから皮革のような外観や風合いを持った素材や製品ができれば、何かを犠牲にして作られた製品を使っているという自責の念から、少しは解放されるかもしれません。

メキシコ発のビーガンレザー、「サボテン革」>の項を参照

2022年10月20日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、

鞄や革小物、ランドセルなどを製造・販売する土屋鞄製造所(東京・足立)は、米Bolt Threads(ボルトスレッズ)が開発したレザー代替素材「Mylo(マイロ)」を採用した商品開発を進めている。Myloはキノコの菌糸体から生まれた合成皮革の新しい素材。2022年12月15日には、小型財布やウォレットバッグ、iPhoneケースにMyloを生かした商品を数量限定で発売する。”

「Mylo(マイロ)」を使用した製品

「Mylo」は、キノコの根のような糸状の繊維(菌糸体)をBolt Threadsが独自の栽培方法で育成し、素材にしたもの。水と空気などがあれば約2週間で育成でき、安定した供給が見込めるという。加工によって、さまざまな製品に応用できる。サステイナビリティ(持続可能性)やエシカル(倫理的)消費に対する意識の高まりにより、Myloのようにレザー代替品として植物を主原料にした新素材が注目されている。キノコを使うものやリンゴを生かしたものがあり、動物の革を使わないことから総称して「ビーガンレザー」とも呼ばれる。”

キノコの菌糸体とその育成

土屋鞄はBolt Threadsに出資し、Myloの素材や商品の開発を共同で行う業務提携を結んでいる。Bolt Threadsとは2021年夏からミーティングを重ね、東京の自社工房でMyloによる試作品を作った。2022年5月にはランドセルや鞄、小物などに仕立てて発表。また、12月15日の発売に先立ち、10月15日~12月28日までの期間、一部店舗で商品を展示している。”

“土屋鞄は、Myloが上質な風合いと質感を持っており、他社への販売実績もあるなど供給体制の信頼性を評価している。Bolt Threadsは日本企業のものづくりに共感しており、パートナーとして一緒にやっていけると感じたという。2022年12月15日に発売する小型財布「MyloハンディLファスナー」を例に挙げると、土屋鞄で人気が高い「ハンディLファスナー」のMylo版といえる。商品を実際に手に取ってみると、レザーと同じとは言えないかもしれないが、新しい素材として期待できそうだ。商品化に当たっては、何度も試作品を作り、強度試験や使用試験で検証を重ねた。折り返し部分など一部だけ従来の革素材を採用。Myloの活用比率は全体の90%。販売目標は未公表。なお、Mylo自体の外販は考えていない。“

Myloの試作品-1
Myloの試作品-2

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