号外:COP27(第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議)①

11月6日にエジプトでCOP27が始まりました。気候変動に世界各国が連携して対応するための重要な国際会議です。ロシアのウクライナ侵攻によって深刻化したエネルギー危機の影響で、脱炭素に向けた取り組みに遅れがでる懸念があります。これから北半球は冬を迎えます。現在のエネルギー危機への対応も大切ですが、将来の地球環境を犠牲にしてもかまわないという話ではありません。現実的であると同時に積極的な議論が行われることを期待しています。

2022年11月7日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

COP27 at Egypt

“世界の気候変動対策を話し合う第27回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)が11月6日、エジプトのリゾート地・シャルムエルシェイクで開幕した。気候変動に関する世界最大の国際会議で、国連の気候変動枠組み条約に基づいて基本的に毎年1回開かれている。COPは「Conference of Parties」の略語で締約国会議を意味し、今回は27回目だ。”

気候変動枠組み条約は1992年のリオデジャネイロの国連環境開発会議(地球サミット)で各国が署名し、1994年3月に発効した。現在、気候変動枠組み条約は198ヶ国・地域が批准している。地球温暖化の対策について国際的な枠組みや協力体制を決める会議としては、COPは最高決定機関といえる。1995年にベルリンで第1回のCOP会合を開き、1997年の京都でのCOP3では京都議定書をまとめた。京都議定書は先進国だけが排出削減の義務を負っている。2000年以降に中国をはじめ新興国の排出量が急増し、実質的に機能しなくなった。米国が「先進国だけが義務を負うのは不公平だ」として離脱する一幕もあった。”

COP会合の歴史

“この反省を踏まえ、2015年のCOP21で約200ヶ国が合意する「パリ協定」を採択した。産業革命前からの気温上昇を2度未満に抑え、1.5度以内にするよう努力する目標を掲げた。先進国だけでなく、全ての国に排出削減の努力義務を課しており、各国はパリ協定の目標を意識して対策に取り組んでいる。パリ協定を実施するための詳細なルール作りの交渉は2021年のCOP26で一段落した。議長国のエジプトは「気候変動対策はルール作りから実施の段階に入った」として、各国に具体的な排出削減の取り組みを求めている。”

“エジプト政府は会議全体を通じて「排出削減」、「災害対応」、「先進国による被害の補償」、「途上国への資金支援」を議論し、それぞれについてバランスの取れた合意を目指すとしている。6日の会議では温暖化の被害による損失について、先進国が途上国に支援する仕組みを話し合うことで合意した。地球温暖化に伴う海面上昇や干ばつなど、対策をとっても防げない「損失と被害(ロス&ダメージ)」への対応をCOPの正式議題とするのは初めてとなる。ただ、先進国と途上国の立場の違いが明確になるなか、合意に至れるかどうかは不透明な要素も大きい。”

COP27(エジプト)の概要

“2021年のCOP26は気候変動で先行する英国が議長国ということもあり、新興国などは反発したが、温暖化ガスの排出量が多い石炭火力発電所の段階的な削減で合意した。今回はアフリカでの開催ということもあり、途上国が主役のCOPにすると議長国のエジプトは強調している。具体的には、洪水や干ばつなどの気候変動に関連する災害の影響が大きい途上国が、先進国は早期に工業化して気候変動を引き起こしてきたとして、資金・技術の提供を強く求める見通しだ。新型コロナウイルス禍、ウクライナ危機などを背景に先進国側には財政的な余裕がなく、交渉は難航するとみられる。資金や技術の支援とは別に、気候変動の被害に対する補償を求める途上国の要望に先進国側がどう対応するかもポイントの一つとなる。

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