号外:SONYがプラスティック包装の全廃へ

国内の脱プラスティックは非製造業(小売りや外食産業)を中心に進んできましたが、いよいよ製造業へも本格的に広がってきました。ご紹介する記事の中の「ソニーは再生プラの使用より別素材への代替でプラ使用量そのものの低減を重視する」という一節は非常に印象に残りました。化石資源を原料とするプラスティックを、リサイクルするといっても限りがあります。もちろん可能な限りリサイクルしなければなりませんが、その一方で、持続可能な代替素材へ切り替えて、プラスティックの使用量そのものを減らす取り組みが重要だと思います。

SONY、小型製品包装材のプラスティック全廃へ始動>の項を参照

2022年11月8日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

SONYの包装材と体積を抑える工夫

ソニーグループ傘下のソニーは商品の包装材でプラスティックを全廃する。まず2023年度にスマートフォンなどの小型商品で始め、紙箱に加え竹などで自社開発した新素材に順次切り替える。将来的にはテレビなど大型商品も含めてプラ使用をやめる。国内では脱プラは非製造業を中心に進んできたが製造業にも広がる。環境への姿勢が企業に一段と求められており、代替素材を巡る連携や競争が活発になりそうだ。”

“国内電気大手でプラ包装の全廃を掲げるのはソニーが初めて。対象はソニーが世界で発売する重さ1キログラム以下の小型新商品でオーディオやスマホ、カメラなどが含まれる。2021年度のソニーグループ全体の製品出荷量約44万トンのうち包装材は約9万トンだった。2021年度にソニーが発売した商品数で小型商品は4割ほどだったようだ。”

“ソニーは外部調達する紙箱のほか、竹やさとうきびの繊維などを原料として自社開発した新素材を使う。切り替えに伴うコスト増は商品の仕様見直しで吸収する。梱包の無駄をなくし材料の使用量を減らすほか、説明書はイラストやQRコードを取り入れて最小限にする。新素材は他社にも使用を呼びかけ、コスト競争力を高めたい考え。テレビなどの大型商品は当面発砲スチロールなどプラ使用が残るが、粉末にした古紙を発砲させる新技術などで代替を目指す。段階的にプラ包装を取りやめ、大型商品も含めて全廃を目指す。

竹などを原料にする新素材「オリジナルブレンドマテリアル」

“世界的な環境意識の高まりから脱プラスティックの動きが加速する。大半のプラは自然界で分解されず、海洋汚染の一種「マイクロプラスティック」の原因にもなる。ソニーは再生プラの使用より別素材への代替でプラ使用量そのものの低減を重視する。店頭で多く並ぶ小型製品の全廃から進めて国内外の消費者へ訴求する。”

世界展開する製造業は環境対応が重要だ。欧米を中心に海外ではプラ使用への消費者の視線は厳しく中国でも厳格だ。欧州連合(EU)は2020年、2030年までにプラ包装を域内で無くし、すべてを再利用・再資源化する方針を打ち出した。中国も2020年に食器などで使い捨てプラの使用を禁止した。海外企業は脱プラで先行する。米アップルは2021年度の商品の包装材に占めるプラ比率を4%までに低減した。2025年までに全商品の包装材でプラを全廃する方針だ。米ヒューレットパッカード(HP)はパソコンなどの梱包材で発砲スチロールから紙容器に切り替えた。スウェーデン家具大手のイケアは2025年までに新商品の包装でプラ使用を止め、2028年までに既存商品も切り替える計画だ。”

プラスティックの使用低減の動き

“国内でも「プラスティック資源循環促進法」が4月に施行され、企業は使い捨てプラ製品の使用削減を促されている。小売り・外食で対応が先行し、ファミリーマートはプラ製フォークの無料配布を10月に原則終了した。年間で約250トンの削減効果を見込む。日本マクドナルドもプラ製のストローやフォークを原則取りやめ、年間900トンの削減につなげる。同法は製造業にも商品設計段階でプラ使用量低減を促している。2020年の国内のプラ排出量は約820万トンで、電機・電子・機械などは157万トンだった。自動車(20万トン)を合わせ主要製造業だけで全体の2割を占める。

富士通は製品設計の工夫で使うプラ削減に取り組む。パソコンなどで部品の小型化や集約により機器全体を小さくし、部品や外装のプラ使用量を減らす。京セラは2021年度から新規開発するスマホやタブレットの包装材を紙に切り替え始めた。国内の消費者の目に付きやすい製品では製造業も脱プラの取り組みが重要になってきている。環境配慮の姿勢が企業のブランド力や競争力につながるようになっている。

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