号外:メルカリ+蒲郡市、眠る不要品「44兆円の宝」

新年明けましておめでとうございます。2023年が始まりました。2022年は、コロナ禍も3年目、2月にはロシアのウクライナ侵攻が勃発しました。それをきっかけに世界中で食糧安全保障やエネルギー危機が叫ばれ、日本では急激な円安の影響も重なり諸物価が上昇して庶民生活を直撃しています。昨年はさまざまな懸念が一気に顕在化した1年間でした。年が明けたからといって状況が好転しているわけではありませんが、新しい1年がみなさんにとって、そして私と私の家族にとっても、平和で安心な日常を取り戻せる年になってくれることを祈念しています。下記にご紹介する話題は昨年12月の話題で、少し掲載するのが遅れてしまいました。ご容赦ください。

12月になりました。年末には、一年間で物置にたまった日頃の「ごみ回収の日」では出しにくい不要品や粗大ごみを、直接市営の焼却場に持ち込みます。もちろん有料ですが、不要品を整理(廃棄)することで、多少さっぱりした気分になります。しかし私が焼却場に持ち込んだものは、本当に廃棄(焼却)すべきものなのか疑問に思うこともあります。確かに我が家では不要品なのですが、まだまだ使用可能で、誰かの役に立つかもしれません。時間と手間の制約はありますが、持続可能な循環型社会の構築がお題目だけにならないように、私のような個人ひとり一人が工夫することも必要だと思います。今年は焼却場に行く前に、もう一度不要品を見直してみます。

メルカリに出品する蒲郡市職員

愛知県蒲郡市は清掃工場に粗大ごみとして持ち込まれた不要品を、フリマアプリ大手のメルカリと組んで販売する国内初の取り組みを始めた。企業間での再利用を仲介する仕組みも整備し、カーテンメーカーが廃棄した樹脂を別の企業が利用する連携も生まれた。愛知県内の自治体の中でも多いごみの削減につなげるねらいだ。”

“「このこたつをメルカリで出品してもいいですか」。蒲郡市クリーンセンター(清掃工場)に不要なこたつを粗大ごみとして持ち込んだ市民に職員が尋ねた。職員は電源を入れ、実際に温度が上がるのを確認した上で、複数の角度から写真を撮り、メルカリへの出品を完了させた。すでに51品を出し、地球儀や車いすなど計28品、5万9400円が売れた。

蒲郡市は4月、フリマアプリ大手のメルカリと連携協定を締結した。粗大ごみとして持ち込まれた不要品の出品は5月に始めた。自治体としては全国初の取り組みで、7月からは愛好家の購入を想定して、不要になったマンホールの出品も始めた。売上金は蒲郡市の収入になるが、目的は収入ではない。市民にリユースの意識を根付かせ、ごみを減らすのが狙いだ。蒲郡市のごみ排出量は1人1日あたり1127グラム。愛知県平均(895グラム)を上回り、県内の市町村で4番目に多い。このうち家庭ごみは603グラムで、蒲郡市はこれを2028年に500グラムまで減らすことを目指している。”

“蒲郡市サーキュラーシティ推進室は「まだ使えるものがあることを市民に気付いてもらい、ごみを減らすように行動を変えてもらう意味合いが強い」と話している。2020年度のごみ処理費用は約11億円で1人当たりでは1万3907円と県平均(建設改良費を除く)を8%上回る。処理費用を抑えるには市民の意識改革が必要と判断したようだ。家庭内で不要になった物品を一時的に保管する「メルカリエコボックス」の無償配布をしたり、スマートフォンの操作が苦手な人向けにメルカリの使い方を教える「メルカリ教室」を開いたりと試行錯誤を続ける。”

蒲郡市の循環型社会の取り組み

蒲郡市は市内の業者を仲介し、不要になった資材を再利用してもらう取り組みも進めている。カーテンメーカー、サンローズはこれまで、仕入れた生地を包んでいた樹脂シートを年約3トン廃棄していた。工場を視察したサーキュラーシティ推進室の担当者は、リサイクル事業を手がける三陽化学を紹介。樹脂シートを引き取り、ポリエチレンペレットに再資源化した。ペレットは農業用フィルムや土木建築用養生・防湿シートの原料となる。サンローズ担当者は「樹脂シートは汚れもあるのでまさか再利用できるとは思っていなかった」と話す。従来はほかの廃棄物も含め、処理費用に年50万円かかっていたが、逆に有償で引き取ってもらえるようになった。今後は資源化したペレットでカーテンフックを製造できないか検討しているという。蒲郡市長は「上から目線で市民や企業に『ごみを減らして』と啓発するだけでは進まない」と話し、インセンティブを具体的に示すことでごみ削減につなげる構えだ。

2021年のメルカリの調査では「過去1年間使用していない日本の家庭に眠る製品の価値」は推定で44兆円に上る。メルカリは自治体と連携することで、アプリの利用者をさらに増やせる。蒲郡市の環境清掃課は「粗大ごみとして出された不要品をメルカリに出品することを伝えると、自分でやってみるという人もいて、徐々に市民の意識に変化もみられる」と話している。メルカリの2019年の調査では少額取引利用者が商品が売れたときに「うれしい・楽しい」と思う理由の1位は「使えるモノを捨てる罪悪感がなくなるから(64%)」だった。リサイクルやリユースの手段を市民や企業に伝えることが、蒲郡市の目指す循環型社会の実現の近道になりそうだ。”

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