号外:ゆっくり戻るメジャーは「文具界の発明品」

こうゆう話題は大好きです。みなさんの中にも、金属テープのメジャーが巻き戻る時に指を傷つけた経験をお持ちの方がいらっしゃると思います。私は何度か経験があるのですが、単に私が不器用だというだけの理由ではないと思います・・・。

2023年4月4日付け日経クロストレンド電子版に掲載された記事より、

“巻き取り式のメジャーは、長さを測った後、ワンタッチでテープを巻き取れるが便利。でもそのときのスピードが速くて怖い。そんな声に応えたのが、デザインフィル(東京・渋谷)の「スローコンベックスメジャー」だ。テープが戻る速度を少し遅くするだけで、新たな価値を持つ『道具』へと変身した。”

スローコンベックスメジャー

“目盛りを記したテープ部分が薄い金属でできているのが特徴のコンベックスメジャー。建築や工作の現場で、プロからアマチュアまで使用する道具だが、デザインフィルの「スローコンベックスメジャー」(税込み1518円)は、文具のように一般家庭で気軽に使用できるようリビルドした製品だ。基本的な性能は一般的なコンベックスメジャーと大きく変わらないが、金属テープが戻る速度を少し遅くしただけで、大変使いやすい道具に変身した。こういうアイディアこそ、イノベーティブというのだろう。”

“スローコンベックスメジャーは、テープを引っ張り出した後、手を離すと、自動的に戻ってくる仕様だ。既存のコンベックスメジャーとの違いは、その戻る速度が遅すぎず、早過ぎず、絶妙なのだ。しかも、最初はスピードが速く、手元に近づくにつれて遅くなっていく。速度のグラデーションが何とも気持ち良い。テープの長さを固定したい場合は、本体の側面を押さえるだけでよい。側面とテープが連動して回転するためで、直感的に扱えるのが特長だ。ストップボタンのような余計なパーツが必要ない分、本体サイズをコンパクトにできた。その結果、子供の手でも使いやすい製品になり、第16回キッズデザイン賞特別賞東京都知事賞「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門」や、2022年度のグッドデザイン賞を受賞している。”

“もともと、コンベックスメジャーは、50センチメートルから2メートルくらいまでの距離を測る道具として重宝される。ビニール製テープを使う柔らかい巻き尺だと、50センチを超える距離を真っすぐ測るのが難しいためだ。ただ、コンベックスメジャーを家庭で使うには課題があった。測った後、テープが戻ってくるスピードが速くて怖いという人が多く、大人の男性でも怖いため、子供には使わせにくいという声があった。これが今回の「ゆっくり戻るコンベックスメジャー」を思いついたきっかけだった。『ゆっくり戻る』を実現するのは難しく、一般的な製品の提案から発表までの期間は長くても2年ほどなのに対し、この製品には3年以上かかったという。方法はいろいろと考えたが、昔のカセットデッキのイジェクト(排出)ボタンのようなゆっくり開く感じが欲しいと考え、回転軸のところに小型ダンパーを仕込むという方法を選んだ。”

小型ダンパーとは、ギアが回転するときの内部の抵抗とそれを調整するシリコンオイルによってゆっくりとブレーキをかける装置だ。小型ダンパー自体は既製品があるものの。同じ形でも抵抗が異なる。テープを戻すときに使用するバネと小型ダンパーの組み合わせの試行錯誤に時間がかかったという。バネの力が強過ぎると小型ダンパーの抵抗力を上回り、狙ったスピードにならない。逆に小型ダンパーの抵抗力が強過ぎると、そもそもテープが戻らない。両者のバランスを取るのが難しかったというわけだ。”

小型ダンパー(イメージ)

“もちろん、メジャーとしての使い勝手も十分に考えられている。サイズは縦と横が44ミリメートル、幅が23ミリメートルと、子供から大人まで手に取りやすい。テープ幅は、1メートルほど伸ばしても水平保持できるよう12.5ミリメートルに設定。通常のコンベックスメジャーだと、2メートル以上の水平保持が可能だが、一般ユーザー向けということで、コンパクトさと使い勝手を優先した。本体にはマグネットが内蔵されていて、必要なときにすぐに手に取れるよう、デスク近くのスチール棚や玄関ドアなどに貼り付けて定位置で管理できる。また、テープの表裏でデザインが異なり、使い分けができる点も魅力だ。表側は目盛りが縦に付いており、垂直方向に測る際に見やすくなっている。

“販売店の評判は良く、発注は予想より多いというが、製品のポテンシャルからするともっと売れてもよいだろう。今後の周知次第で、大ブレークしても不思議はない。文具業界久しぶりの大発明なのだ。

目盛りの付け方

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