号外:アサヒ飲料が「CO2を食べる自販機」を開発

屋内外を問わず、日本ほど自動販売機が多い国はありません。タバコやお酒のように購入者の年齢確認が必要なものまで販売されています(それなりの確認はされていますが)。以前住んでいたドイツやアメリカでは、治安の問題もあるため、屋外で自動販売機を見かけることはめったにありませんでした。鉄道駅の切符の自動販売機は、ある種の例外でした。最近では自宅の近所に、冷凍食品の自動販売機まで登場しました。自動販売機は、商品を温めたり、冷やしたり、冷凍保存したりするわけですから、当然電力が必要です。電力を消費する(CO2を排出する)だけでなく、空気中からCO2を吸収する自動販売機を開発したという話題です。記事の中で紹介されていますが、その吸収量を樹木が吸収するCO2の量に換算すると、結構な水準です。これだけ自動販売機が溢れている日本ですから、かなりの効果が期待できるのかもしれません。

2023年5月9日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

アサヒ飲料は5月9日、空気中のCO2を吸収する「CO2を食べる自販機」を開発したと発表した。自動販売機内に粉末状の吸収材を置くことで、使用電力のCO2排出量の最大2割分を削減できる。CO2を含んだ吸収剤は地方自治体や企業と連携し、肥料やコンクリートなどに配合して工業原料として活用する。2024年の本格導入をめざす。”

“同社は、「自販機はお客様にとって身近なインフラ。電力を使うというよりCO2を吸収するという発想で、いままで(脱炭素の面で)ネガティブだったものがポジティブになるポテンシャルがある」としている。コンセプトは「都会の中に森をつくる」。商品を冷やしたり温めたりする際に空気を吸い込んでCO2を吸収する様子を森に例えた。1台あたりの年間吸収量は樹齢56~60年のスギの木約20本分に相当するという。自販機下部の空きスペースに吸収剤を設置するため稼働に影響はない。”

6月に関東・関西エリアで実証実験を始める。屋内や地下鉄などCO2濃度が高いとされる場所に約30台を設置。CO2吸収量や吸収スピードを検証する。当面は新台として設置する予定だが、既存の自販機にもコストをかけずに導入できるという。大気中のCO2を吸収できる自販機として特許出願中だ。”

飲料総研(東京・新宿)調べでは2021年の自販機の稼働台数は219万台。アサヒ飲料は2022年時点で約26万台を持つ。同社によると自販機の電力消費によるCO2排出量は20年前に比べて6割減となったもののここ数年は横ばいとなっており、削減は飲料メーカー共通の課題となっている。同社は、「大気中のCO2を吸収する木と同じような役割を果たす」としており、より吸収能力の高い素材開発を進め、2030年をめどに使用する電力分を相殺して自販機のCO2排出ゼロをめざす。

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