号外:一般ごみのリサイクル推進

一般家庭から出るごみ(一般ごみ)は、各自治体単位で収集され、処理されています。私が住んでいる兵庫県西宮市でも一般ごみの分別収集が行われていますが、下記に紹介されている神奈川県鎌倉市や鹿児島県大崎町の事例と比べると、まだまだ十分な取り組みが出来ているとは言えません。なぜ分別収集するのかと言えば、可能なものはリサイクルして再資源化するためです。分別がしっかりしていないとリサイクルすることができません。全国的に見ると一般ごみのリサイクル率は横ばいで、なかなか進展していないようです。リサイクルする方法・用途によっては、分別品目の細分化も必要になり、住民(私たち)にとっては手間が掛かることになります。「排出するごみを削減し、できるだけリサイクルしなければならない」ということは、みんな頭ではわかっています。あとはどれだけ真剣に取り組むことができるのかです。家庭から出るごみは、私たちにとってもっとも身近な環境課題です。

2023年6月2日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

一般ごみのリサイクル率(2021年度)

全国のごみ処理費用は年間2兆円を超え、人口減が続く自治体の財政に重くのしかかる。リサイクルの重要性は高まるが、意識改革の遅れなどから全国の取り組みは伸び悩む。そうしたなかでも神奈川県鎌倉市など高いリサイクル率を達成する自治体は、分別の徹底はもちろん新たな再生手法の活用にも積極的だ。”

日本のごみの排出量は収集の有料化などで長期的に減少傾向にある。ただ、分別収集などを通じて資源化した量の、ごみ処理量などに占める割合であるリサイクル率は伸び悩む。環境省の一般廃棄物処理実態調査でも、2021年度のごみの総量は4095万トンと前年より1.7%減ったが、リサイクル率は19.9%で横ばいだった。ごみ処理経費は国民1人当たり年1万7000円に達する。

“市町村別のリサイクル率を見ると、焼却炉の老朽化や最終処分場の逼迫といった課題に、いち早く挑んだ自治体が上位に並ぶ。人口10万人以上50万人未満の都市でトップの鎌倉市(52.6%)は、ごみ処理能力に限界が見えてきた30年ほど前から「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)」を目指してきた。2020年からは近隣の逗子市(46.6%)、葉山町(50.4%)とごみの広域処理に乗り出した。2025年3月には現在稼働する市内唯一の焼却施設を停止する方針。その後は逗子市の施設を利用するが、受け入れに限界があるため可燃ごみをさらに減らしてリサイクル率も高める。すでに、木の枝を木材チップなどに加工する仕組みを構築し、分別収集も21品目に細分化した。廃棄物に新たな価値を与える「アップサイクル」にも挑む。花王や慶応大学と共同で、3Dプリンターを使ってプラスティックごみから公園の遊具やベンチなどを作る。ごみが資産に変わる過程を見える化して市民の意識向上につなげる。こうした先進的な取り組みが、神奈川県を都道府県別のリサイクル率トップに押し上げる。”

鹿児島県大崎町の27品目分別

全市町村で2位の鹿児島県大崎町(81.6%)は、ごみを焼却せずに埋め立て処分してきた。ただ、埋め立て場所には限界があるため分別を徹底しており、現在は27品目に分けて収集する。注目は生ごみの処理方法。専用バケツに集めてから収集し、草木などとともに全て堆肥にする。廃食用油は収集車の燃料にも使う。メーカーや周辺自治体とともに、使用済み紙おむつを分別収集して再び紙おむつの原料とする世界初の水平リサイクルも始めた。これまでにリサイクルを通じて約1億6000万円の収益が発生。町民1人当たりのごみ処理経費も全国平均より年約5000円削減できた。取り組みに共感する企業などからの寄付も増えており、全町民に1万円分の商品券を配ってリサイクルへの一段の理解を求める。”

“7位の福岡県大木町(64.7%)は生ごみとし尿を混ぜて処理することで、発電用燃料のメタンなどを生み出す施設を整備した。原料となる生ごみは無料で収集。燃やすごみの収集は有料とすることで分別の徹底を促し、ごみ削減とリサイクル率向上につなげる。”

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