号外:魚介水揚げ量が大幅に減少しています

私は関西に長いこと住んでいます。関西には、お好み焼きやたこ焼きといった「粉もの文化」があり、わが家でもちょくちょく食卓に登場します。粉ものにタコは付き物なのですが、このところタコの値段が随分上がりました。食料品全般が値上げされていますが、タコなど魚介類については水揚げ量が大幅に減少しているようです。慣れ親しんできた食材が手に入りにくくなるのは悲しいことですね。四方を海に囲まれた日本は、その豊かな海から得られる海産物によって「日本食の文化」を育んできました。自然が相手ですから当たり前のことですが、海洋環境が変化すれば、そこで採れる海産物にも影響が及びます。気候変動によって歴史のある食文化も影響を受けていることを、しっかり認識する必要があります。

サンマ不良、沖合に移動が原因か>の項を参照

2023年6月2日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

魚介類の水揚げが減り続けている。農林水産省の漁業・養殖業生産統計によると、2022年の漁業と養殖業の合計生産量は前年比7.5%少ない385万8600トンだった。減少は2年連続で、統計を取り始めた1956年以降の最低を更新した。海水温の上昇による環境の変化が影響を及ぼしている。”           

海面漁業の漁獲高は289万3700トンで、前年比9.4%減った。サバ類が28.5%減、カツオが28.6%減と大きく落ち込んだ。海水温の上昇で回遊ルートが変わったことなどが指摘されている。ホタテガイは主産地である北海道の減少が響き、前年を4.5%下回った。長期的な減少が著しいのはサンマ、スルメイカ、タコ類で、いずれも過去最低だった。サンマはピークの1958年に比べて96.8%少ない。水産研究・教育機構は温暖化の影響で回遊場所が沖合に移っているとの調査結果をまとめた。サンマの資源管理を議論する北太平洋漁業委員会(NPFC)は関係国・地域の漁獲上限を約25%減らすことで合意している。スルメイカは1968年に比べて95.6%減った。産卵場となる日本海の海水温が上がり、稚イカが成長できなかったと見られている。外国漁船の違法操業が影響しているとの指摘もある。タコ類は1968年に比べ78.4%減った。”

一方、サケ類やカタクチイワシなどは増加した。サケ類は前年比55%、カタクチイワシは13.3%多い。高級すしネタとして人気のクロマグロは乱獲の影響で減少していたが、国際的な漁獲規制で資源量が回復し6.6%増。ニシンは44.1%増加した。”

海面養殖の収穫量は91万900トンと前年比1.7%減った。水産庁栽培養殖課によると、ブリ類は2021年に稚魚のモジャコが不漁だった結果、前年に比べ15%減った。マダイも2.3%少ない。新型コロナウイルス禍の影響で外食需要が低迷、需給をみて生産者が養殖量を減らした。漁獲量や収穫量の減少は外食店にも影響を及ぼす。回転ずし店「スシロー」を手がけるFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)の担当者は「養殖事業者へ技術支援を行ったり、種苗の研究開発から手がけたりするなど、持続可能性を解決しながら味も追及したい」と話す。”

“水産庁漁政課は「適切な資源管理と合わせて、資源の変動に対応した漁獲対象魚種の転換を実現することが必要だ」としている。同庁は3月から漁業のあり方について検討会を実施してきた。6月中にも検討会の結果をまとめる方針だ。”

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