号外:遊休農地でオリーブ栽培

私はワインやウイスキーのおつまみにオリーブの実を食べるのが好きです。最近は日本のスーパーなどでもオリーブの実が販売されていますが、昔はあまり見かけませんでした。以前住んでいたドイツやアメリカではとてもポピュラーな食材で、色々と味付けされたオリーブの実を、そのまま食べたり、サラダに加えたり、ピザやパスタだけではなく様々な料理に使っていました。おかげで、すっかりオリーブ好きになってしまいました。我が家ではオリーブオイルも必需品で、家内が色々な料理に使っています。日本国内でもオリーブは栽培されていて、有名なのは香川県ですね。以下に紹介されているのは、群馬県でオリーブを栽培する話題です。

2023年6月21日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“農業スタートアップのジャングルデリバリー(群馬県館林市)が、遊休農地でオリーブ栽培を広げる事業を始めた。苗木を農家などに販売し、栽培方法も教えて育ててもらう。収穫した実や葉は同社が買い取り、オリーブオイルやお茶などに加工して販売する。オリーブは手間がかからず栽培が容易といい、耕作放棄による荒廃農地の発生防止につなげる。同社は館林市で文房具店を経営する社長の三田英彦氏が、起業家発掘イベント「群馬イノベーションアワード」への参加などを経て2017年に創業した。現在の従業員数は6人。2018年から、館林市内の遊休農地でオリーブの栽培を始めた。”

農家の高齢化や担い手不足で、耕作されずに放置された荒廃農地が全国で広がる。農林水産省によると、2022年3月末時点の面積は約26万ヘクタール。各地で景観の悪化や害虫・野生動物の繁殖といった問題を引き起こしている。”

“三田氏は、耕作をやめたいと思っている農家が従来の作物の代わりにオリーブを植林すれば、荒廃農地の発生を防げるのではないかと考えた。除草や剪定(せんてい)は必要だが、田畑と比べると少ない手間で栽培できるためだ。オリーブ栽培は年間2000時間以上の日照時間や、年間1000ミリ程度の降水量が必要。この点でも群馬県の気候は栽培に適しているという。同社は館林市内のビニールハウスでオリーブの苗木を栽培し、1本3000~5000円で農家などに販売。栽培方法も教えている。”

オリーブの苗木のビニールハウス

“実からはオリーブオイルがとれるほか、葉を加工してお茶にすることも可能だ。植えると翌年から葉の収穫が可能で、7年程度で実の収穫もできるようになる。収穫した実は同社が1キログラムあたり500円、葉は同1000円で買い取る(いずれも有機栽培の場合)。生産が軌道に乗れば、成木1本から収穫できる実と葉は年間1万円程度の売り上げになる。1ヘクタールの土地なら約400本のオリーブが植林可能で、年間300万~400万円程度の収益が期待できると、三田氏は説明する。”

“同社では現在、群馬県内を中心に約30の協力先にオリーブを栽培してもらっている。農家のほか、障害者に農業分野で活躍してもらう「農福連携」の一環として、福祉施設が栽培に乗り出すケースもあるという。現在の栽培面積は、自社で栽培する分も含めると約4ヘクタール、本数は約2000本。今後は関東地方の近隣県にも協力先を拡大し、2028年には栽培面積を200ヘクタール、本数を現在の40倍の8万本に増やす目標を掲げている。”

“同社ではイタリアから輸入した搾油機を使ってオリーブの実からオイルを採取している。オリーブオイルにユズやレモンの風味を加えた独自製品や、葉を加工したお茶も商品化した。県内の直売所やオンラインで販売しており、台湾向けの輸出も検討している。今後はオリーブを使った化粧品や健康食品の商品かも進める。2023年2月期に約2100万円だった売上高を2024年2月期に7000万円に増やし、黒字転換を目指す。

“農水省の統計(2020年産)によると、国内でオリーブの栽培面積が最も広いのは香川県で217ヘクタール、2位は熊本県で48ヘクタール。上位には中四国や九州地方が多く、群馬県は13.5ヘクタールで9位にとどまる。三田氏は「地球温暖化の影響もあり、栽培の適地は関東地方で広がっている。将来は香川県を上回る産地に育てたい」と意気込んでいる。”

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