スノーピーク、リユースに本腰!
先日、近所のけっこう大型のスポーツ用品店でサイクリング用品を探したのですが、これまでサイクリング用品が置いてあった場所に隣のアウトドア(キャンプ)用品売り場が拡大してきて、サイクリング用品売り場がなくなっていました。最近、コロナ禍の影響もあったのでしょうが、アウトドア・レジャーの人気が高まっていますね。それはそれで結構なことですが、私はサイクリング用品を取り扱っている別の店舗を探すことになりました。
アウトドア用品のスノーピークは自社製品のリユース事業に取り組んでいます。メーカーが主体となったこのような取り組みは非常に有意義だと思います。その根底にあるのは、自社製品の品質に対する自信です。またメーカーが責任を持ってリユース品を販売することは、メーカーと消費のコミュニケーションのひとつの形でもあります。リユース品を循環させることで、環境に配慮した企業の姿勢を具体的に示し、新しいファン(愛好者)を獲得することにもつながるでしょう。このような取り組みが広がっていくことに期待しています。
2023年9月5日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、
“アウトドア用品大手のスノーピークがリユース事業に乗り出した。4月に子会社を設立し、使わなくなり押し入れなどで眠っているテントやランタンを再び活躍させることで、サステナビリティー(持続可能性)の実現を目指す。リユース品を通じて同社製品の愛好者の裾野を広げ、事業の拡大も狙う。”
“「圧倒的な安心感を持ってリユース品を買ってもらえるようにする」。スノーピーク子会社でリユース事業を担う、スノーピークサーキュレーションコア(福井市)の中上久範社長は力を込める。8月下旬から開始した買い取りでは送られてきたスノーピーク製の中古品の状態を確認し、査定結果に納得してもらえれば買い取る。客が納得しなければ製品は返送する。中古品はテントやタープでは汚れや色落ちといった経年劣化の状況を調べ、ランタンはちゃんと火(灯)がつくかなど、一つ一つ確認する。つかないようならば分解して部品を交換するといった修理をするなど、正しく使えるか、安全かを確認してから販売する。修理では必要に応じ、スノーピーク本体と連携する考えだ。”
“コア社設立前から自身が経営する会社でスノーピーク製品を買い取ってきた中上氏によると、持ち込まれるスノーピーク製品は修理がほとんど必要ないものばかりだという。高品質な上、「ユーザーが大事に使っている」(中上氏)。汚れを落としたり、たき火で開いた穴を塞いだりするくらいだという。チェックや修理を経たリユース品は、スノーピーク認定の中古品として販売する。”
“認定リユース品を本格的に販売することで新品が売れなくなる可能性もあるが、中上氏は「初心者の人が中古品を買ってスノーピークのファンになり、次は新品を買うこともある」とみる。さらに廃版となった過去の製品を求めるコアなスノーピークファンのニーズにも応えられ、新たな需要を生み出せるとする。スノーピーク自身が手掛けることで、ユーザーは今使っている製品を安心して売って、新たな製品を買ってもらえるようになると期待する。同社は高価格帯の商品が多いが、「中古品の売却分を足して買えば高くなくなる」(中上氏)との思いもある。コア社はまず、年商2億~3億円程度を目標にする。販売についてはサイトを立ち上げ、今秋以降に実施する方針だ。”
“スノーピークはこれまでも、衣類を作る時に出る裁断くずや不要になった服をリサイクルして衣類にする取り組みを進めてきた。アウトドアを楽しむ人は、環境保護に敏感な人も多い。中上氏は「新しい資源を投入するのではなく、今ある資源を再利用していく循環を作っていきたい」と意気込む。”