号外:都内の再開発ビルに「曲がる太陽電池」

「ペロブスカイト型」と呼ばれる「曲がる太陽電池」を都市部の高層ビルに導入し、再生可能エネルギー発電とその消費を完結させる試みです。国土が狭く山地が多い日本では、大型の従来型太陽光発電所を設置できる場所には限界があります。また発電に適した地域と電力を消費する地域を結ぶ送電能力も不十分で、せっかく再生可能エネルギーで発電した電気を効率的に使いこなせていない状況もあります。これらの課題を解決する手段として、技術的に日本が先行している、軽くて曲がるペロブスカイト型太陽電池が期待されています。

2023年11月15日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

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日比谷内幸町地区の再開発イメージ(中央ビル群の右側「サウスタワー」に導入される)

東京電力ホールディングス(HD)は11月15日、折り曲げられる次世代太陽電池「ペロブスカイト型」を都内の再開発ビルに導入すると発表した。2028年度に完成する地上46階建てのビルの外壁に設置する。ビル全体の発電能力は大型の太陽光発電所に匹敵する。高層ビルへの大規模導入は世界初とみられ、実用化を象徴する事例となりそうだ。

“日比谷公園に隣接する内幸町地区の再開発に取り入れる。東電本社などを解体して開発する高層ビルの外壁に設置する。フィルム型の太陽電池を各階の床と天井の間にできる空間を埋めるように敷き詰める。発電能力はビル全体で1000キロワット超と一般家庭約300世帯分の電気を賄える規模になる。太陽電池は積水化学工業から調達する。積水化学は建物外壁への設置実証などで先行する。東電は開発の進捗を見ながら設置する個数などを決める。”

積水化学のペロブスカイト型太陽電池

高層ビルは空間や風圧の問題で太陽光パネルの設置が難しいとされる。企業は郊外の太陽光発電所などと契約して電気を運び、オフィスを脱炭素化してきた。ただ発電所を新設できる土地は減り、送電線の混雑で輸送量も増やせなくなっている。ペロブスカイト型が普及すれば、都心の建物で発電と消費を完結できるようになる。オフィスの脱炭素化が一気に進むだけでなく、山間部の多い日本で太陽光発電を導入し続ける上でも重要な役割を担うとされている。”

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