欧州でファストファッション規制強化

欧州で、繊維・ファッション産業をサステイナブルに再構築するための規制が本格化しています。フランスでは2022年1月に「衣類廃棄禁止法」が施行され、企業が売れ残った新品の衣類を焼却や埋め立てによって廃棄することが禁止されました。この規制は欧州連合(EU)全体に広がろうとしています。またこのほどフランス政府は、EUからアフリカへの古着輸出を禁じることを提案しました。フランスといえば、ファッションの本場ですよね。自国のファッション産業を再構築して強化するために、流行の服を大量生産して大量に廃棄するファストファッションの規制に力を入れているようです。いずれにしても、環境負荷が高いといわれる繊維・ファッション産業はビジネスモデルを見直して、持続可能な産業として再構築することが必要です。欧州が先行していますが、このトレンドは必ず世界に波及していきます。

EUが大筋合意、売れ残り服・靴の廃棄を禁止>の項を参照

2024年3月28日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

“爆発的な人気を集めるシーイン(SHEIN)が近く上場を検討していることで、流行の商品を大量生産するファストファッションの環境や社会的な影響をめぐる議論が活発化している。ESG(環境・社会・企業統治)投資家の注目も集める中、このほど、フランス政府は「アフリカをファストファッションのゴミ箱にしてはならない」とし、欧州連合(EU)からアフリカへの古着輸出を禁じることを提案した。”

EUの古着

近年、シーインのような超格安で、ほぼ使い捨てのような衣料品の人気が高まっていることで、古着の輸出が急増している。多くはガーナやケニアなどのアフリカの国々で廃棄され、深刻な環境問題を引き起こしている。”

“ファストファッションを規制する動きが広がりつつある。フランス国民議会の下院は3月14日、ファストファッション広告の禁止や低価格の輸入品に対して罰金を科す法案を全会一致で可決した。同法案の文書によれば、シーインは毎日約7200種類もの新製品をウェブサイトに挙げている。さらに文書で引用された業界調査によれば、この10年でフランスで購入される衣料品の数は年間50%近く増え、33億着に伸びた。同じ期間に人口は3%しか増えていない。

これらの服には工業用化学物質が使われていることが多く、大量に廃棄されると環境に悪影響をもたらす。国連によれば、ファッション産業は世界の温暖化ガス排出量の10%を占め、航空と海運を合わせた量よりも多い。米S&Pグローバルの調べでは、ファッション企業は直接的な排出量を減らしているものの、サプライチェーンからの排出量は右肩上がりで増加しているという。ファストファッションに伴う問題を解決するには、人々が少ない量の服を長く利用することが理想的だ。だが、シーインなどの企業は消費者による大量購入がビジネスモデルを支えている。最終的には消費者が環境に優しい買い物をすることを「ファッショナブル」と思うことが最善の解決策となるだろう。

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