新型肺炎でユニクロの中国での休業100店に拡大

中国湖北省武漢市を発生源とする新型コロナウイルス肺炎が拡大しています。日本でも中国人旅行者の感染が確認されていましたが、1月28日には、来日した中国人旅行者から感染(人から人への感染)した日本人患者が確認されました。人口1100万人言われる大都市である武漢市が1月23日に封鎖(交通遮断)されました。規模だけでいえば、東京都を封鎖するようなもので、とんでもない事態です。1月29日には、政府のチャーター機(全日空)で武漢市の在留邦人206名が帰国しました。これは第1陣で、政府は約650人の帰国希望者を把握しており、順次帰国の手配をしてゆくとのことです。(1月30日には第2陣210名が帰国)1月30日現在、日本では14名の感染者が確認され、その内の2名は無症状ということです。1月31日には第3陣が帰国予定です。

武漢市に向かう政府チャーター機(1/28)

2019年1月28日の日本経済新聞電子版に掲載された記事より

“ファーストリテイリングが展開する「ユニクロ」を巡り、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、感染者の多い武漢市のある中国湖北省を中心に約100店を休業していることが28日、分かった。中国のユニクロ店舗数は2019年12月末時点で750店。休業対象の店舗は全体の1割強に相当する。同社は「営業再開については、見通しは立っていない」としている。中国にあるユニクロの店舗は、武漢市の交通機関が23日から停止されて出勤できない従業員が出たため、同日から武漢市内の全17店の営業を取りやめていた。新型肺炎の影響が中国全土に広がりつつあることから、休業店を拡大している。

「無印良品」を展開する良品計画も28日までに、中国の湖北省武漢市内に展開する全10店の営業を取りやめた。新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大しているためで、営業再開のめどは立っていない。10店は商業施設内のテナントとして展開している。出勤できない従業員が増え、商業施設全体として営業が停止している。同社では、武漢市に駐在している日本人社員はいないという。良品計画は中国国内に「無印良品」の店舗約260店を出店している。武漢市以外の地域の営業については「行政や入居する商業施設の動向を見て判断する」としている。”

小売りではイオンも武漢市内で展開する「イオンモール」3施設について、テナント部分の営業を休止し、モール内の直営スーパーの営業を続けている状況だ。

中国は、今では日本企業にとって製品の生産地であると同時に、巨大なマーケットです。現地で仕事をされている日本人の方々がたくさんいらっしゃいます。広大な国ですから、どこかで何かの非常事態が発生し、交通が遮断されたりしたら(日本では、これはできないと思いますが・・・)、現地での情報も不足がちになる外国人にとって、個人で対処することは不可能だと思います。

新型コロナウイルスによる感染症としては、2003年に中国南部の広東省で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)、2012年に中近東地区で発生したMERS(中東呼吸器症候群)がありました。今回湖北省武漢市で発生した感染症が、どの程度拡大するのかまだまだ予断を許しませんが、何とか早急に事態が収拾されることを願っています。

2003年にSARSが流行した時、私と家族はアメリカのサンフランシスコ市近郊に住んでいました。サンフランシスコ市には全米最大のチャイナタウンがあり、中国人居住者が多い地域です。感染者も発生しましたので、ずいぶん心配しました。仕事では、一定期間サンフランシスコへの出張が禁止になり、サンフランシスコにいる私の出張も制限されました。サンフランシスコ空港の近くを車で通ることが多かったのですが、JALやANAの尾翼のマークが見えるたびに、「いざという時に自分たちを日本へ連れて帰ってくれるのは日本の航空会社だろうな」と考えていました。幸いに、政府のチャーター便で帰国するようなことにはなりませんでしたが、いつどのようなリスクに晒されるかわからないことを実感した経験でした。現在も武漢市に留まっておられる日本人の方々は、大変不安な思いをされていることと思います。一刻も早くご帰国されることを願っています。

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