暖冬、三重苦のアパレルに寒風

最近、ファッション業界、アパレル業界からなかなか元気のいいニュースが伝わってきません。昨年、今年の暖冬で、アパレル企業各社は苦闘を続けています。

2020年1月24日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より

暖冬が街のアパレルショップを苦しめている。2019年11月以降、気温が高い傾向が続くため冬服の販売が不振で、同年10~12月のアパレル各社の売上高は1~2割減少した。暖冬の影響だけでなく、2019年10月の消費増税施行で買い控えが広がり、同月の台風19号上陸で多くの店舗が休業した影響も色濃く残る。三重苦のなか、各社はセールや中古市場を見据えた取り組みで反攻をうかがう。”

“初売りでも冬服は不振だった。暖冬の影響で、特に単価の高いコートなどの販売が落ち込んだ。各社は「セールでなんとか取り返したい」と危機感を募らせている。”

2019年初売りの様子

“10月中旬の3連休に台風19号が上陸。カジュアル衣料品大手しまむらは、暴風雨の影響で店舗を一時的に閉める措置をとった。店舗の合計休業日数は全国で945日に上り、同社10月の既存店売上高は前年同月比9%減った。”

確かに、昨年10~12月の冬物販売時期については、暖冬、消費増税、台風とアパレル販売にとっては、まさに三重苦でした。アパレル企業にとって、特に販売単価が高い冬物重衣料(コートや防寒ジャケットなど)の不振は大きなダメージになります。年が明ければセールの時期になりますが、今でも気温が下がりませんから、セールも苦戦するのではないかと思います。一部では、フリマアプリ国内最大手のメルカリと組み、セールの販促につなげる仕掛けをしているようですが、これも中途半端なで小手先の対応のように思えます。

「109」とメルカリ???

「SHIBUYA109」(東京・渋谷)は2日からメルカリのブースを店内に設置。メルカリで出品するための撮影や梱包を店内でできるようにした。購入した福袋に入っていたセーターの写真をブースで撮っていた女性客は「袋に入っている5点中、2点は要らない場合もある。スムーズに出品できて便利だ」と、109とメルカリの連携を評価する。”

“これまでは低価格で衣服を売買できる中古市場の拡大は街のアパレルにとって脅威だった。「中身が分からない福袋は買わないという人は以前よりも増えている。中古市場を見据えた取り組みは福袋でも必要だ」(SHIBUYA109総支配人)”

正直なところ、ちょっとあきれてしまいました。そもそも福袋というのは必要なのでしょうか?私は中身の分からない福袋というものを買ったことがありません。初売りの景気づけで、お買い得感のある中身になっているのでしょうが、いくらお買い得でも要らないものは要らないのであって、抱き合わせで売れ残りを販売しているような印象を受けます。しかも、福袋の中の不要品を中古市場へ出品するサポートを販売店舗で行う、それをもってセールの販促策と言うのは、あまりに表面的な対応だと思います。

地球温暖化の影響で日本の気候にも影響がでてきています。夏は暑く長くなってきましたし、冬は暖冬です。気象庁が発表した2019年の年間平均気温は平年を0.92度上回っていました。これからは、暖冬は珍しくないという前提で、商品構成や販売時期を再検討してゆくべきでしょう。製品の種類に関わらず、サステイナビリティの基本は、「手間をかけた良い製品を、出来るだけ長く大切に使うこと」、「無駄な製品を生産しないこと」です。シーズン終盤のセールはある程度必要かもしれませんが、それに頼っていてはアパレル企業の業績が苦しくなるばかりだと思います。

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