プラダの新しいプロジェクト「Re-Nylon」がスタート

イタリア・ミラノのファッションブランド「プラダ」は、時代や世界の変化に対応するべく、新しいプロジェクト「Re-Nylon」をスタートさせました。ユニークな再生ナイロン「ECONYL」を採用することで、象徴的なプラダのバッグに持続可能な(サステイナブルな)シリーズを導入します。

Re-Nylonは2021年末までにすべての未使用ナイロンを再生ナイロンECONYLに切り替えるという、プラダの持続可能性(サステイナビリティ)への取り組みです。ECONYLは、イタリアの繊維メーカー「アクアフィル」が開発・生産している再生ナイロンで、漁網などの海洋プラスティック廃棄物や繊維廃棄物をリサイクル・精製して作られ、解重合と再重合のプロセスから品質をそこなうことなく無限に(!?)リサイクルできるそうです。

プラダ「Re-Nylon」 
「Re-Nylon」ロゴ

みなさんご存知のプラダですが、そのブランド・シンボルともいうべきナイロンバッグの素材が、従来の(未使用)ナイロンからECONYLという再生ナイロンに切り替わります。しかもプラダは、2021年末までに全てのナイロンバッグをECONYLに切り替えると表明しています。やはりプラダですから、世界的にかなりインパクトのあるニュースだと思います。このところ欧州を中心に、地球温暖化、気候変動についての活発な議論が展開されています。これらの問題を低減、解決するための環境配慮は、今ではすべての産業、企業に求められています。当然のことですが、ファッション産業も環境問題とは無縁ではありません。むしろ、ファッション産業はそのサプライチェーン全体でかなりの環境負荷を生み出しているといわれています。したがって、欧州の高級ファッションブランドは色々な形で環境配慮に対応してゆかねばなりませんし、その行動には全世界が注目しています。プラダのような取り組みは、再生ナイロンの生産・使用規模としては決して大きくないかもしれませんが、世界中の人々の環境配慮への関心をより高めてくれるという効果を期待できるかもしれません。

地球を着こなすサステイナブルファッション>の項参照

ECONYLという再生ナイロン素材は、同じイタリアの繊維メーカーであるアクアフィルが供給します。アクアフィルはスロベニア、米国、中国、タイなどに生産拠点を持ち、年間80,000トンのナイロン糸を生産するイタリア最大のナイロンメーカーです。100%リサイクルナイロン繊維であるECONYL(年間生産量25,000トン)は、古くなった漁網などを回収し、ケミカルリサイクルしたものです。日本では住江織物(株)が、カーペット材料としてECONYLを活用する目的で、アクアフィルと業務提携しています。

ECONYLは再生ナイロンですから、当然イタリア(ないしは欧州)では漁網のようなナイロン繊維廃棄物を回収するシステムが構築されているということです。どうしても「プラダのバッグに使われている」という部分が脚光を浴びますが、そこにたどり着くまでの地道な準備段階があって初めて実現可能なことです。またプラダのような高級ファッションブランドが環境配慮型素材を取り上げて、持続可能(サステイナブル)な企画を立ち上げることによって、より多くのファッションブランドでの環境配慮型素材への取り組みが活性化されることを期待したいと思います。

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