売れ残り衣料品在庫の処分、廃棄ゼロを目指して

三井住友フィナンシャルグループの環境情報誌「SAFE」VOL.125(2018年9月)に掲載された記事からです。

昨年、バーバリーが41億円相当の売れ残り品を焼却して社会的な非難を浴びましたが、これは同社だけの問題ではなく、ファッション業界には一度も使用されないまま処分される商品が相当あると言われています。

国内アパレルの過剰生産の現状:これはサステイナブルではありません>の項参照

一般的に、定価で売れなかった衣料品は、店舗内でのセールの後、ファミリーセール、アウトレットといった順に値段を下げて販売されます。それでも売れ残った商品は、廃棄(焼却・埋立)されるか、または在庫処分業者に流れてゆきます。アパレルメーカーにとって余剰在庫そのものが望ましくないことに加えて、安売り市場に出回るとブランド価値を下げてしまう恐れがあることから、在庫処分業者にはネガティブなイメージがあります。

一方で、従来の在庫処分業者のイメージを一新する手法で在庫を処分(販売)し、多くのアパレルメーカーの信頼を勝ち取る企業が登場しています。2005年に設立された株式会社shoichi(ショーイチ)は、有名ブランドを含めアパレルメーカーや卸売業者、小売業者から売れ残った商品を買い取り、インターネット、輸出、卸、自社店舗で販売を行っています。現在は年間500万枚という日本一の取扱量を誇ります。

従来の在庫処分の取引は口約束が多く、買い取った商品をどこで販売するかは業者の判断に任されていました。これに対して該社は、商品を引き取る際に買い取り先の希望(下記)をひとつひとつ確認します。買取価格は、こうして販路を決めたうえで販売価格を想定して決めます。定価販売の邪魔をしないように細心の注意を払うことで、たくさんの顧客からの信頼を得ています。

<買い取り先の希望(例)>

*ブランドショップの半径〇キロメートル以内では販売しない

*Webショップやディスカウントストアでは販売しない

*タグを切ってブランド名をわからないようにする

在庫は資源の無駄につながると否定的に捉えられがちですが、「問題は、在庫の発生ではなく廃棄にある」と該社社長は述べています。「安く買いたい、すぐに欲しいという需要はあります。工業製品はたくさんつくるほど安くなるので、メーカーは売れる枚数よりも多めに作りがちです。結果として、必要以上に在庫が増えます。在庫はいわば潤滑油なのに、捨てられて無駄になるから悪者にされてしまいます。我々は買い取った商品は必ず1年半以内に売ることをルールとしています。売り方を工夫すれば、売れない商品はありません。これまでに培ったノウハウと幅広い販路を活用し、廃棄ゼロを実現しています。」

<国内アパレルの過剰生産の現状:これはサステイナブルではありません>の項でも触れましたが、衣料品は「ファッション」ですから、シーズン毎にある程度の売れ残りがでてしまうことは避けられません。その部分が上記のような販路で消化されるのであれば健全なことだと思います。売れ残りの未使用製品が廃棄(焼却・埋立)されれば、これは資源・労力の無駄でしかありません。しかし、アパレルメーカーが年間の消費量以上の余剰在庫を発生させるような生産をしているのであれば、やはり大問題です。先ずはアパレルメーカーが需要に見合った適正な生産を行い、余剰在庫の発生を極力抑えることが重要だと思います。

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