消費者の「修理する権利」①

衣料品に限った話ではありませんが、何らかの製品を使用する際の環境配慮について考えるとき、一番分かり易いのは、気に入った製品を大切に長く使うことです。そのためには「修理」することが必要になります。修理するためには、修理する技術や材料(修理のためのサービス)が必要です。修理するためのサービスが十分に提供されていないために、私たちはまだまだ使えるはずの製品を安易に捨ててしまっていないでしょうか。良い製品であれば、なんらかの理由で不用になった場合でも、リユースされる可能性が高いと思います。そして製品寿命まで使い切った製品が、最後にリサイクルできれば、可能な限りの環境配慮をしたということができると思います。私たちが全く廃棄物を出さずに生活してゆくことは難しいでしょう。普通の衣料品であれば街のリフォームショップで修理できますが、例えば特殊な生地を使った防水仕様のアウトドアジャケット等は無理だと思います。ダウンジャケット等も特殊な技術がないと修理できないと思います。このような消費者の希望に対応するために、スポーツアパレルのゴールドウィンやパタゴニアは自社製品を修理するサービスを行っています。

もうひとつの3R:リペア、リフォーム、リメイク>、<パタゴニア Worn Wear>の項を参照

このような「修理をする」という考え方について、私たちはもう一度考えてみる必要があるように思います。

2020年9月9日付けSustainable Brands Japanに掲載された記事より、

“自動車や大型家電などの大きな買い物をした際に、メーカーの保証期限が切れるとすぐに製品が壊れてしまうことを不思議に思ったことはないだろうか。あるいは現在の先進社会では、宇宙に到達できる十分な耐久性を持った素材が製造できるにも関わらず、何年も使える自動車のタイヤを製造できないのはなぜだろうと考えたことはないだろうか。その答えは計画的陳腐化にある。これは、消費者が購買行動をとり続けるためのマーケティングと製造のトリックなのだ。”

修理するということ

“「Investopedia(ニューヨーク市を拠点とするアメリカのWebサイト)」によると、計画的陳腐化とは「現在のバージョンの製品が既知の期間内に古くなったり、役に立たなくなったりすることを意図的に行う戦略のこと」だ。これは、消費者が代替品を求めることを確実にし、需要を高めるための意図的かつ積極的な動きである。言い換えると、計画的陳腐化とは、製品が設定された日または特定の時間内に陳腐化することを意味する。陳腐化とは、通常の消耗に耐える製品の能力を制限すること、はるかに優れた買い替えモデルを登場させること、特定の時間枠内で適切な機能が停止するように意図的に製品を設計することなどだ。例えば、3万マイルで摩耗する自動車用タイヤ、限られた使用期間で破れてしまう衣類、アップデートされたソフトウェアやアプリでは動作しないコンピュータ、携帯電話、タブレット、電池交換が難しい電子機器などが当てはまる。”

電子機器や電化製品の寿命はますます短くなっている。ドイツ環境庁(UBA)は、環境研究所とボン大学に調査を依頼した。UBAは「多くの電化製品の寿命は短すぎる。これらの製品の製造では貴重な資源を消費し、製造過程で発生する汚染物質や温室効果ガスは環境や気候に負担をかけている」としている。私たちはいま、製品の寿命と耐久性の最低条件を考える段階を迎えている。おそらくその答えは、電子製品の耐久性の最低限度期間を設定することではないだろうか。まだ正常に作動しているにも関わらず、動作の遅さや交換できないバッテリーが理由であまりにも多くの機器が交換されている。

計画的陳腐化はサステイナビリティと逆行する。製品が捨てられたり、埋め立て地に廃棄されたりするたびに、長期的には環境にダメージを与えることになる。陳腐化した製品を交換するたびに原材料を調達しなければならない。これにより、森林破壊や自然に傷跡を残す原因にもなる。そして、代替品を製造しなければならず、大気汚染や騒音公害にもつながる可能性がある。最終的に、製品は依然として化石燃料に頼った配送プロセスを経て、消費者の手に渡る。”

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