ユニクロやZARA、服を補修する新サービスで廃棄削減

このHPでも何度か取り上げている衣料品における環境配慮の基本は、手間をかけた良い製品(素材、デザイン、縫製仕様を厳選し、素材や製造プロセス全体、流通において環境に配慮して生産される服)を、できるだけ長く大切に使うことです。また無駄な製品を生産しないことも重要です。購入した服をできるだけ長く使うためには、傷んだり、壊れた個所を修理するための材料や、修理できる場所(技術)が提供されることも必要です。そうすることで衣料廃棄物を減らすことが出来ます。製品寿命を終えた服は、回収してリサイクルすることができれば、不必要な資源を投入せずに循環させることができます。

2000年代には、流行の服(流行は、ファッション産業がマーケティングで生み出すものです)を安価に(必要最低限の品質で)大量に販売する「ファストファッション」が注目されました。色々な服を短期間だけ着て、次々に廃棄する(大量生産→大量消費→大量廃棄)ビジネスモデルです。その裏側には、2013年にバングラディシュで起きた縫製工場が入った商業ビル「ラナプラザ」の崩壊事故に見られるような、劣悪な労働条件や児童労働のような人権問題もありました。最近は市場・消費者の環境意識や人権意識が高まるとともに、ファストファッションにも一時の勢いはなくなりました。

欧州では2022年3月に、「EUテキスタイル戦略」が発表され、「脱ファストファッション」の方向が示されました。具体的には2030年までにEU市場の繊維製品は、高耐久性、リサイクル可能、再生繊維による製品を大半とし、事業者は販売後の製品のライフサイクルまで責任を持ち、リユース・リペア・リサイクルを基本とする循環型ビジネスに移行することが求められています。欧州で衣料品を販売するアパレル各社は、その対応を迫られています。

下記にご紹介するのは、服を補修するサービスが広がってきたという話題です。

ユニクロ、服を補修・リメーク>、<欧州が示唆するアパレルの未来>の項を参照

2023年1月15日付け日本経済新聞電子版に掲載された記事より、

ユニクロの服を補修する専用スペース

衣料品大手が相次ぎ服の補修サービスの拡大に動いている。ファーストリテイリングは傘下のカジュアル衣料「ユニクロ」の一部店舗で導入するサービスを国内で本格展開する方針。インディテックス(スペイン)が運営する「ZARA(ザラ)」も英国でサービスを始めた。若者を中心に環境を意識した消費行動が広がる中、補修サービスは市場拡大が見込まれ、衣料品大手の戦略事業として定着する可能性がある。”

“衣料品業界では2000年代に流行を取り入れた衣料品を低価格で大量販売する「ファストファッション」が台頭し、服を捨てることに抵抗感が薄れた消費者が増えたとされる。米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、世界の衣料品生産は2000~2014年の間に倍増し、平均的な消費者が服を買う量は60%増えたが、服を着続ける期間は半分になった。

服の廃棄を減らす取り組み

“国際的な非営利団体グローバル・ファッション・アジェンダなどの推計では、2015年に9200万トンの繊維製品が廃棄され、2030年に1億4800万トンと6割増える見通し。マッキンゼーによると、衣料品関連の温暖化ガス排出量は2018年に約21億トンで世界全体の約4%を占める。欧州連合(EU)が2030年までに繊維製品にリサイクル素材の使用を促し、過剰な生産・消費をやめる方針を示す中、衣料品大手は対応を迫られている。

ユニクロは2022年10月に世田谷千歳台店(東京・世田谷)で服の傷んだ箇所を補修したり、刺しゅうなどのリメークをしたりする専用スペースを設置した。ユニクロ商品が対象で、できる限り当日中に、穴やほつれ、股ずれなどを補修する。価格はTシャツの穴直しやシャツなどのボタン付けが500円。ジーンズの股ずれは1500円。サービス開始から約3ヶ月で想像以上に男性客が多い。修繕依頼で目立つのはダウンジャケットやニット、ジーンズなど。ユニクロは2022年1月に米ニューヨークの店舗で補修サービスを本格的に始めた。現在は英ロンドンやシンガポールなど9ヶ国・地域の12店舗で展開しており、今後、国内外でサービスを本格化していく。ZARAは2022年11月に英国で自社製品の補修サービスを始めた。ボタン付けが3ポンド(約470円)、ズボンの裾直しは12ポンド。ZARAは顧客間で中古商品の売買ができるプラットフォームも立ち上げ、服の廃棄を減らすことを目指している。スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)は2018年にドイツやフランスで補修サービスを始め、現在はオーストリアやエクアドルなど4ヶ国で展開している。日本では当て布やワッペンを販売し、消費者が自ら補修できるようにしている。

“調査会社ファクト・エムアールによると、衣料品の仕立て・補修サービスの世界市場は年平均4.7%成長し、2032年には149億ドル(約1.9兆円)と2022年の約1.6倍に拡大する見込みだ。1990年代半ば以降に生まれた「Z世代」の若者が消費の主役になりつつあるなか、環境や社会のサステイナビリティ(持続可能性)に配慮した「エシカル消費」の存在感が高まり、サービス拡大の余地が広がっている。”

アパレルの市場規模と供給量

“古着を捨てず、生地を染め直したり、つなぎ合わせたりして新しいデザインの製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」に取り組む企業もある。良品計画は生活雑貨店「無印良品」の12店舗で、服のアップサイクル品を取り扱う。顧客が着なくなった服を店頭で回収し、藍色など3種類の色に染め直す「染めなおした服」や、色や柄の異なる複数のシャツを解体してつなぎ合わせる「つながる服」として販売する。ファストファッションの代表ブランドとして人気を博した「フォーエバー21」は、日本への再進出で「脱ファストファッション」を掲げている。商品数を2019年の撤退前の10分の1程度に絞り込み、在庫を極力出さないようにする。平均商品単価を4000円と高めに設定して低価格販売のイメージを刷新し、幅広い年代層の需要開拓を目指す。これまでアパレル各社は見栄えや着心地を重視して服をデザインしてきたが、今後は修理やリサイクルのしやすさも考慮して、素材を選んだりデザインしたりすることが求められそうだ。

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